Time-reversal symmetry breaking superconductivity with electronic glass in nickelate (La, Pr, Sm)3Ni2O7 films

本論文は、La、Pr、Sm を含む二層ニッケレート薄膜において、超伝導転移の低温領域で時間反転対称性の破れと電子ガラス状態を特徴とする、磁場履歴依存性や非相反性、対数遅延緩和などの特異な性質を示す前例のない超伝導状態を発見したことを報告している。

Haoran Ji, Zheyuan Xie, Yaqi Chen, Guangdi Zhou, Longxin Pan, Heng Wang, Haoliang Huang, Jun Ge, Yi Liu, Guang-Ming Zhang, Ziqiang Wang, Qi-Kun Xue, Zhuoyu Chen, Jian Wang

公開日 2026-03-05
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🌟 発見の核心:「記憶を持つ電気」と「ガラスのような状態」

研究者たちは、**「ニッケル酸化物(La, Pr, Sm)3Ni2O7)」**という薄い膜(フィルム)で、これまで誰も見たことのない不思議な現象を見つけました。

これを一言で言うと、**「電気が流れるときに、過去の『磁石の扱い方』を覚えていて、その記憶によって電気の通りやすさが変わってしまう」**という現象です。

1. 魔法の「記憶力」を持つ電気(時間反転対称性の破れ)

通常、電気を流す物質は、磁石を近づけたり遠ざけたりしても、電気の通りやすさは「今、磁石がどこにあるか」だけで決まります。過去の履歴は関係ありません。

しかし、この新しい物質では、「磁石をどう動かしたか(上から下へ、それとも下から上へ)」という「履歴」によって、電気の通りやすさが変わってしまいます。

  • 例え話: 道案内のアプリを想像してください。通常は「今、どこにいるか」でルートが決まります。でも、この物質は**「過去にどの道を通ってきたか」によって、次のルートが変わってしまう**ようなものです。
  • これは、物質内部で**「磁石の向きが勝手に決まっており、それが時間とともに逆転しない(時間反転対称性が破れている)」**ことを意味します。まるで、物質の中に「小さな磁石の集団」が勝手に揃って、その状態を維持しているようなものです。

2. 「ガラス」のような動き(電子ガラス)

この現象は、単なる磁石の整列ではなく、**「電子ガラス(Electronic Glass)」**という状態であることがわかりました。

  • 例え話: 水が凍って氷になるのは、分子がきれいに並ぶ「結晶」です。一方、**「ガラス」**は、液体が急激に冷やされて固まった状態で、分子がバラバラに固まって動けなくなっています。
  • この物質の中の電子も、「バラバラに固まって動きが鈍い(ガラスのような)」状態になっています。
  • 証拠: 磁石を消した後に、電気の抵抗(電気の通りにくさ)を測ると、**「時間とともに非常にゆっくりと、対数(ログ)のように変化し続ける」**ことがわかりました。これは、ガラスがゆっくりと形を変えようとするのと同じ「ゆっくりした動き(老化現象)」です。

3. 不思議な「非対称性」

さらに面白いことに、「電流を右から流す」と「左から流す」では、抵抗の値が違います。

  • 例え話: 通常の道は、どちらに進んでも同じ距離ですが、この物質は**「右に進むと坂道、左に進むと平坦」のような状態になっています。しかも、この「坂の向き」は、磁石をどう動かしたかによって自在に切り替えられます。**
  • これは「超伝導ダイオード効果」と呼ばれる現象で、電子が「片方向に流れやすい」状態になっている証拠です。

🔬 なぜこれがすごいのか?

  1. 常温常圧での発見: これまでのニッケル酸化物の超伝導体は、極端な高圧力(地球の中心に近いような圧力)が必要でした。しかし、この研究では**「普通の圧力(大気圧)」で、しかも「薄膜(薄い膜)」**として実現しました。これにより、実験が格段にやりやすくなりました。
  2. 高温超伝導の謎に迫る: この物質は、銅酸化物(銅を使った高温超伝導体)に似ていますが、より複雑な構造を持っています。この「ガラスのような状態」が、なぜ超伝導(電気抵抗ゼロ)を安定させているのかを理解できれば、**「室温で動く超伝導体」**を作るための重要なヒントになるかもしれません。
  3. 酸素の量が鍵: 研究チームは、物質の中の「酸素の量」を調整することで、この不思議な現象が強くなったり弱くなったりすることを発見しました。これは、この現象が物質の「電子の軌道(電子の動き回る場所)」と深く関係していることを示しています。

🎯 まとめ

この論文は、**「ニッケル酸化物の薄膜で、磁石の『記憶』と『ガラスのような動き』を持つ、全く新しい超伝導状態が見つかった」**と伝えています。

まるで、**「電気が流れる道が、過去の経験(磁石の履歴)によって形を変え、ゆっくりと動き回るガラスの部屋の中を伝わる」**ような不思議な世界が発見されたのです。

この発見は、未来の**「超高速・低消費電力の電子機器」や、「室温超伝導」**の実現に向けた大きな一歩となる可能性があります。