遺伝学は、生物の形質がどのように親から子へ受け継がれ、多様性が生まれるかを研究する分野です。Gist.Science では、bioRxiv から公開される最新の遺伝学に関するプレプリントをすべて収集し、専門用語を噛み砕いた平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を用意しています。

これにより、研究者だけでなく、科学に興味を持つ誰もが最先端の知見に容易にアクセスできるようになります。複雑なゲノム解析や遺伝子発現のメカニズムなど、日々の研究動向をわかりやすく整理してお届けします。

以下に、遺伝学カテゴリーで公開された最新の論文リストをご紹介します。

🧬 genetics

Diverse processes drive the origination and maturation of super-enhancers and super-silencers during a vast evolutionary timescale of the bicistronic gene SMIM45

本論文は、ヒトの二重遺伝子 SMIM45 をモデルに、数億年にわたる進化の過程で、Alu 配列の挿入や「栽培遺伝子」モデルなど多様なメカニズムが超エンハンサーや超サイレンサーの形成を駆動し、最終的に胎児脳で発現するヒト固有のデノボ遺伝子の誕生に至ったことを明らかにしたものである。

Delihas, N.2026-03-13
🧬 genetics

Dissecting genetic variance structure and evaluating genomic prediction models for single-cross hybrids derived from Stiff Stalk and Non-Stiff Stalk maize heterotic groups

この研究は、GBLUP ベースのマルチカーネルモデルを用いて、トウモロコシの異質性群(Stiff Stalk と Non-Stiff Stalk)における遺伝的分散構造を解明し、親の情報が利用可能な場合に未試験の単一交配ハイブリッドの性能を高精度に予測できることを示した。

Godoy, J. C., Edwards, J., Lee, E. C., Mikel, M. A., Fernandes, S. B., Hirsch, C. N., Berry, S. P., Lipka, A. E., Bohn (…)2026-03-13
🧬 genetics

High-resolution retrospective single cell lineage tracing with mutable homopolymers

本研究では、高変異性ホモポリマーを標的とした単一細胞デュオオミクス手法「RETrace2」を開発し、従来の方法よりも約 2 倍の情報量を持つマーカーと技術的改良を組み合わせることで、細胞分裂 5 回未満の解像度で系統発生を連続的に追跡すると同時に細胞種の同定を可能にし、in vitro モデルおよび Msh2 欠損マウスの多臓器においてその有効性を実証しました。

Cheng, P.-C., Kamenev, D., Kameneva, P., Fitzpatrick, C., Adameyko, I., Kharchenko, P. V., Zhang, K.2026-03-12
🧬 genetics

Genome-scale mapping of variant, enhancer and gene function in primary human CD4+ T cells

この研究は、一次ヒト CD4+ T 細胞において 410 万個の細胞を用いた大規模な Perturb-seq 解析を実施し、免疫疾患に関連する非コード変異からエンハンサー、標的遺伝子、そして疾患特異的な遺伝子ネットワークに至るまでの因果関係を包括的に解明したものである。

Moonen, D. P., Claringbould, A., Gschwind, A. R., Schrod, S., Braunger, J., Feng, C., Rauscher, B., Yi, J., Bi, S. Z., M (…)2026-03-11
🧬 genetics

The prevalence of protein misfolding as a mechanism for hereditary deafness

この論文は、難聴に関連する遺伝子変異の多くがタンパク質の誤フォールディングによるものであるという仮説を検証し、生物物理学的な安定性評価を統合したベイズモデルを開発することで、多数の意義不明変異(VUS)を病原因と再分類し、12 人の患者の遺伝的診断を向上させたことを報告しています。

Gogal, R. A., Cox, G. M., Kolbe, D. L., Odell, A. M., Ovel, C. E., McCormick, K. I., Hong, B., Azaiez, H., Casavant, T. (…)2026-03-11
🧬 genetics

Downregulation is the dominant effect of new regulatory mutations in a fungal pathogen

この研究は、主要な小麦病原菌である Zymoseptoria tritici のゲノム解析を通じて、新規な遺伝子発現調節変異が主に遺伝子発現の低下を引き起こし、特にコーディング領域に近い変異でその傾向が強く、集団内で高頻度に存在することから自然選択が関与している可能性を示唆している。

Sampaio, A. M., Croll, D.2026-03-10
🧬 genetics

Loss-of-function phenomics, ncORFs, and ambiguity of mutant phenotypes in Medicago truncatula

この研究は、シロハギ(Medicago truncatula)におけるほぼ網羅的な欠損表現型データセットを新規に構築し、非古典的オープンリーディングフレーム(ncORFs)の存在が既知の遺伝子変異表現型の解釈にどのような曖昧さをもたらすかを包括的に分析した画期的な論文である。

Cakir, U., Gabed, N., Kaya, S., Benedito, V. A., Brunet, M. A., Roucou, X., Kryvoruchko, I. S.2026-03-10