神経科学は、脳や神経系がどのように機能し、思考や感情、行動を生み出すのかを探る分野です。Gist.Science では、この複雑な領域の最新研究成果を、専門用語に頼らず誰でも理解できるようにお届けしています。

当カテゴリに掲載される論文はすべて、生物医学分野のプレプリントサーバー bioRxiv から収集したものです。Gist.Science は bioRxiv に投稿される最新のプレプリントをすべて対象に、平易な要約と詳細な技術解説の両方を提供しています。

以下に、神経科学分野の最新プレプリントをリストアップしました。

Distinct Modulatory Effects on Affective Biases by Different Serotonergic Psychedelics and MDMA in Male Rats: Possible Implications for Antidepressant Effects

この研究は、ラットを用いた実験により、異なるセロトニン作動性幻覚剤(N,N-DMT、LSD、5-MeO-DMT)および MDMA が、負の情動バイアスの減衰や新たな経験のポジティブ化において、それぞれ異なる調節効果を示すことを明らかにし、これが抗うつ作用のメカニズムに関与する可能性を示唆しています。

Hinchcliffe, J., Bartlett, J., Thomas, C., Golden, C., Bortolotto, Z., Gilmour, G., Robinson, E.2026-04-22🧠 neuroscience

Identifying molecular instructions to hard-wire a sensory neurons synaptic connectivity

この論文は、ショウジョウバエの感覚神経細胞の個体間での転写変動が極めて小さいことを明らかにし、100 種類未満の細胞表面分子が神経細胞のアイデンティティと特異的なシナプス結合を決定する分子指令として機能し、それらの発現操作により神経回路の誤配線や分枝の増加を引き起こせることを示しました。

dos Santos, J. V., Yu, R. Y., Terceros, A., Pires, P. M., Rusu, D., Cvektkovska, V., Bucio-Mendez, A., Lin, T.-J., Emran, F., Djambazian, H., Berube, P., Sladek, R., Chen, B. E.2026-04-22🧠 neuroscience

Feedback to deep layers in human V1 during perceptual filling-in

7 テスラ超々高磁場 fMRI を用いた研究により、トロイラーの知覚的埋め込み現象において一次視覚野(V1)の深層でフィードバック信号が観測されたことから、視覚表面知覚は早期視覚野へのフィードバックによって支えられていることが示されました。

Koiso, K., Razafindrahaba, A., van de Ven, V., Roberts, M. J., De Martino, F., De Weerd, P.2026-04-21🧠 neuroscience

Emotion regulation or dual task? Dissociation of neural and behavioral measures

本研究は、感情調節の指標として広く用いられてきた遅期陽性電位(LPP)の振幅変化が、実際には感情の増幅・抑制のどちらの指示でも自由閲覧時よりも減少する現象を示し、これは感情制御そのものではなく「二重課題による認知的負荷」に起因するものであり、行動指標と神経指標の間に明確な不一致があることを明らかにした。

Sambuco, N., Versace, F., Cinciripini, P. M., Robinson, J. D., Cui, Y., Bradley, M. M., Minnix, J. A.2026-04-21🧠 neuroscience

Neuronal precursor cell persistence in Ganglioglioma is associated with ECM remodeling and immune cell infiltration

空間トランスクリプトミクス解析により、神経前駆細胞の持続が細胞外マトリックスのリモデリングと免疫細胞浸潤を介した腫瘍微小環境の形成と関連し、これがガンリオグリオーマの良性増殖とてんかん原性の両方の基盤となっていることが明らかになりました。

Kueckelhaus, J., Hoffmann, L., Menstell, J. A., Zimmer, D. N., Kada-Benotmane, J., Zhang, J., Beck, J., Schnell, O., Sankowski, R., Sievers, P., Sahm, F., Delev, D., Heiland, D. H.2026-04-21🧠 neuroscience

Temporal and Spectral Neural Complexity Reveal Graded Auditory Awareness

本研究は、意識の全体的な状態ではなく知覚的な明確さの程度を捉えるために、脳信号の複雑さを時空間および周波数分解能で解析した結果、高 SNR(信号対雑音比)において特定の周波数帯域での複雑さの変化や刺激前約 30ms における複雑さの増加、そして刺激後の長距離情報伝達の急激な低下が観察されたことを示し、情報理論的指標が意識体験のレベルを敏感に反映することを明らかにしました。

Liardi, A., Bor, D., Rosas, F. E., Mediano, P. A. M. E.2026-04-21🧠 neuroscience

Face-selective cortical regions inherit thevisuospatial organisation of early visual cortex

本研究は、顔認識に特化した高次視覚野が、初期視覚野と同様に水平方向や下方視野で高いサンプリング密度を示すことを明らかにし、顔認識の空間的偏りが上位領域の階層的な視空間組織の継承に起因することを示唆しています。

Morsi, A. Y., Chow-Wing-Bom, H. T., Schwarzkopf, D. S., Goffaux, V., Dekker, T. M., Greenwood, J. A.2026-04-20🧠 neuroscience

Selective encoding of priors for flexible categorization but not Bayesian inference in the frontal eye field

本研究は、サッカード時の視覚的安定性知覚において、前頭眼野(FEF)の神経活動がベイズ推論ではなく、事前知識に基づいた柔軟な判断基準の調整(カテゴリー化)を符号化することを示し、ベイズ推論と視覚的カテゴリー化の神経メカニズムが分離・分散している可能性を明らかにした。

Subramanian, D., Pearson, J. M., Sommer, M. A.2026-04-20🧠 neuroscience

Astrocytes mediate the pro-cognitive value of α7nAChRs and of α7nAChR-targeting therapeutics

本研究は、α7 ニコチン性アセチルコリン受容体が認知機能に果たす役割は、従来の神経細胞ではなくアストロサイトにおける D- セリン/NMDA 受容体シグナル伝達を介して発現し、これが認知機能向上を目的とした同受容体標的治療薬の有効性の鍵であることを明らかにした。

Wu, Y., Tolman, M., Dai, Y., Walsh, S., Agha, H., Lefton, K. B., An, H., Manno, R., Haydon, P. G., Papouin, T.2026-04-19🧠 neuroscience