バイオインフォマティクスは、膨大な生物学的データをコンピュータの力で解析し、生命の謎を解き明かす分野です。ゲノム情報やタンパク質の構造といった複雑なデータから、新たな発見を引き出すための重要な橋渡し役となっています。

Gist.Science では、bioRxiv から公開される最新のプレプリントをすべて対象に、この分野の論文を網羅的に扱っています。専門的な詳細な要約に加え、難しい専門用語を避け、誰でも理解できる平易な日本語での解説も併せて提供しています。

以下に、bioRxiv から更新されたばかりのバイオインフォマティクスに関する最新論文の一覧を掲載します。

MISSTE: a multiscale integrative spatial simulator for understanding the mechanisms underlying tissue ecosystems

本研究は、細胞内ロジック、エージェントベースモデル、および微分方程式を統合した新しいマルチスケール空間シミュレーションフレームワーク「MISSTE」を開発し、CAR-T 療法の固体腫瘍微小環境における挙動を再現・解析することで、浸潤と殺傷機能の時間的順序制御が治療成否を決定づける重要な要因であることを示しました。

Su, Z., Yin, S., Wu, Y.2026-04-16💻 bioinformatics

ProteomeScan: A Toolkit For Target Validation By Proteome-Wide Docking And Analysis

ProteomeScan は、クラウド規模の高性能計算を活用してヒトプロテオム全体にわたる分子ドッキングシミュレーションを行い、既存の計算手法の限界を克服し、潜在的なタンパク質 - リガンド相互作用を特定・検証するための大規模な計算ツールキットとして開発され、その有効性が確認された。

Barsainyan, A. A., Panda, R., Siguenza, J., Merico, D., Ramsundar, B.2026-04-16💻 bioinformatics

Inferring division-associated stochasticity from time-series single-cell transcriptomes

この論文は、細胞分裂に伴う確率的な分配ノイズを考慮して連続的な細胞動態と分裂率を推定するニューラル確率微分方程式フレームワーク「scDIVIDE」を提案し、合成データおよびマウス造血データにおいて既存手法を上回る精度で細胞分布の予測や出生率の推定を実現したことを報告しています。

Okochi, Y., Sawazaki, Y., Kondo, Y., Naoki, H.2026-04-16💻 bioinformatics

Multiscale transcriptomic organization of the human brain with DigitalBrain

本研究は、2,143 人のドナーから得られた 1,635 万の単一細胞トランスクリプトームを統合した大規模アトラス「DigitalBrain-Atlas」と、細胞および遺伝子の埋め込みを学習するトランスフォーマーベースの基盤モデル「DigitalBrain-M1」を開発し、人間の脳における多スケールの組織構造の解明や加齢に伴う遺伝子プログラムの変化の特定を通じて、人間の脳を統合的に記述する「仮想臓器」の実現に向けた重要な一歩を踏み出したことを示しています。

An, J., Hu, X., Jiang, Y., Jiang, M., Qiu, S., Liu, G., Wei, X., Wang, Y., Lin, J. Q., Wang, C., Lu, M.2026-04-16💻 bioinformatics

FlyPredictome: A structural atlas of predicted protein-protein interactions in Drosophila

本研究は、150 万組の AlphaFold-Multimer 予測に基づき、Drosophila のタンパク質間相互作用をアミノ酸レベルの構造解像度で網羅的に解析し、表現型関連変異が相互作用界面に富むことを実証するとともに、シグナル伝達経路からタンパク質複合体に至るモジュール構造を明らかにした「FlyPredictome」というオープンデータベースを構築したものである。

Kim, A.-R., Comjean, A., Veal, A., Rodiger, J., Han, M., Hu, Y., Perrimon, N.2026-04-16💻 bioinformatics

LinkLlama: Enabling Large Language Model for Chemically Reasonable Linker Design

本論文は、自然言語による幾何学的・物性制約の入力を受け付け、ChEMBL などの薬剤様分子データで微調整された大規模言語モデル「LinkLlama」を開発し、従来の 3D 生成モデルが抱える構造的欠陥を克服して、化学的に妥当なリンカー設計の成功率を約 35% から 80% 以上に向上させたことを報告しています。

Sun, K., Wang, Y. E., Purnomo, J. C., Cavanagh, J. M., Alteri, G. B., Head-Gordon, T.2026-04-16💻 bioinformatics

DIOPT: the DRSC Integrative Ortholog Prediction Tool, 2026 update

本論文は、2011 年に開発された DRSC 統合相同性予測ツール(DIOPT)が、2026 年時点で複数のアルゴリズムと対象生物種の拡大、ウェブポータルの機能強化、および節足動物に特化した姉妹ツールの開発を通じて、機能ゲノム学研究における種間相同性予測の信頼性と利便性をさらに向上させたことを報告するものである。

Hu, Y., Comjean, A., Gao, C., Yamamoto, S., Mohr, S., Perrimon, N.2026-04-16💻 bioinformatics