バイオインフォマティクスは、膨大な生物学的データをコンピュータの力で解析し、生命の謎を解き明かす分野です。ゲノム情報やタンパク質の構造といった複雑なデータから、新たな発見を引き出すための重要な橋渡し役となっています。

Gist.Science では、bioRxiv から公開される最新のプレプリントをすべて対象に、この分野の論文を網羅的に扱っています。専門的な詳細な要約に加え、難しい専門用語を避け、誰でも理解できる平易な日本語での解説も併せて提供しています。

以下に、bioRxiv から更新されたばかりのバイオインフォマティクスに関する最新論文の一覧を掲載します。

Protein sequence domain annotation using a language model

本論文は、事前学習されたタンパク質言語モデル(ESM-2)と構造確率デコーダを組み合わせた「PSALM」という手法を提案し、従来の HMMER と同等の感度・特異度 tradeoff を達成しつつ、特に緩和された閾値条件下で UniProtKB におけるドメインアノテーションのカバレッジを向上させることを示しています。

Sarkar, A., Krishnan, K., Eddy, S. R.2026-03-31💻 bioinformatics

Amino acid substitutomics: profiling amino acid substitutions at proteomic scale unveils biological implication and escape mechanism in cancer

本研究では、新規質量分析解析ツール PIPI-C を用いてがんのタンパク質レベルでのアミノ酸置換を網羅的にプロファイリングする「アミノ酸置換オミクス」を提案し、ゲノムやトランスクリプトームでは検出されない多数の新たな置換を同定するとともに、がんの生物学的意義や薬剤耐性・免疫逃避のメカニズムの解明に貢献する堅牢な枠組みを確立しました。

Zhao, P., DAI, S., Lai, S., Zhou, C., Li, N., Yu, W.2026-03-31💻 bioinformatics

Deep representation learning for temporal inference in cancer omics: a systematic review

この論文は、がんオミクス研究において深層表現学習(特に変分オートエンコーダ)がサブタイピングや予後予測に広く活用されているものの、縦断データの不足によりがんの時間的動態の解明が限られている現状をレビューし、生成モデルとしての VAE 活用による時間軸を考慮したがん研究の重要性を提言しています。

Prol-Castelo, G., Cirillo, D., Valencia, A.2026-03-31💻 bioinformatics

Flipper: An advanced framework for identifyingdifferential RNA binding behavior with eCLIP data

この論文は、eCLIP データを用いた RNA 結合タンパク質の結合変化を、発現量の変化と技術的変動を適切に区別・補正しながら統計的に厳密に解析するための新フレームワーク「Flipper」を提案し、既存手法よりも優れた感度と精度を有することを示しています。

Flanagan, K., Xu, S., Yeo, G. W.2026-03-31💻 bioinformatics

CCIDeconv: Hierarchical model for deconvolution of subcellular cell-cell interactions in single-cell data

この論文は、空間トランスクリプトミクスデータから得られたサブセルラー細胞間相互作用の情報を学習し、非空間的な単一細胞 RNA シーケンシングデータから細胞質や核などのサブセルラー領域に特化した細胞間相互作用を階層的モデル「CCIDeconv」を用いて高精度に推定する手法を提案しています。

Jayakumar, R., Panwar, P., Yang, J. Y. H., Ghazanfar, S.2026-03-31💻 bioinformatics

Modeling gene regulatory perturbations via deep learning from high-throughput reporter assays

本研究は、全ゲノム STARR-seq データを用いて再学習可能な深層学習フレームワーク「BlueSTARR」を開発し、非コード領域の変異による遺伝子発現調節への影響を予測するとともに、選択圧や薬剤処理に応じた結合パターンなどの生物学的なシグナルを抽出できることを示しました。

Venukuttan, R., Doty, R., Thomson, A., Chen, Y., Li, B., Duan, Y., Barrera, A., Dura, K., Ko, K.-Y., Lapp, H., Reddy, T. E., Allen, A. S., Majoros, W. H.2026-03-31💻 bioinformatics