「Hep-Ex」は、素粒子物理学の最前線にある加速器実験の分野を指します。大型加速器で衝突させた粒子の振る舞いを詳しく調べることで、宇宙の根本的な法則や物質の成り立ちを探求する研究です。

Gist.Science は、arXiv から公開されるこの分野の最新プレプリントをすべて網羅的に処理し、専門知識がなくても読める平易な解説と、技術的な詳細を両方備えた要約を提供しています。

以下に、Hep-Ex 分野の最新論文リストを掲載します。

Search for low-mass vector and scalar resonances decaying into a quark-antiquark pair in proton-proton collisions at s\sqrt{s} = 13 TeV

CMS 実験による 13 TeV の陽子 - 陽子衝突データを用いた解析で、50〜300 GeV の質量範囲におけるクォーク対への崩壊を示す低質量ベクトルおよびスカラー共鳴の探索が行われ、50〜250 GeV の範囲でこれまでに最も厳しい制限が設定されたものの、そのような共鳴の証拠は見つからなかった。

CMS Collaboration2026-03-24⚛️ hep-ex

Jet quenching and its substructure dependence due to color decoherence

この論文は、QCD 媒質における色コヒーレンスとデコヒーレンスの効果を考慮し、真空様放出と BDMPS-Z 形式に基づく媒質誘起放射を組み合わせた理論枠組みを提案することで、ATLAS 実験の 5.02 TeV PbPb 衝突データにおける大半径ジェットおよびそのサブ構造に依存するジェット減衰を非常に良く記述できることを示しています。

Xiang-Pan Duan, Lin Chen, Guo-Liang Ma, Carlos A. Salgado, Bin Wu2026-03-24⚛️ nucl-ex

Search for Higgs boson production at high transverse momentum in the WW decay channel in proton-proton collisions at s\sqrt{s} = 13 TeV

CMS 実験による 138 fb1^{-1}の 13 TeV プロトン - プロトン衝突データを用いた解析により、高横運動量領域でのヒッグス粒子の WW 崩壊チャネルにおける生成を初めて探索し、標準模型の予測を超える信号の証拠は見られなかったと報告されています。

CMS Collaboration2026-03-24⚛️ hep-ex

Probing compressed mass spectra in the type-II seesaw model at the LHC

この論文は、LHC における既存の探索では見逃されていた可能性のある圧縮質量スペクトルを想定し、多変量解析を用いて同符号レプトン対のシグナルを背景事象から区別することで、Type-II シーサスモデルのパラメータ空間の広範な領域が LHC Run 2 および将来の HL-LHC データで検証可能であることを示しています。

Saiyad Ashanujjaman, Siddharth P. Maharathy2026-03-23⚛️ hep-ex

SU(2)LSU(2)_L triplet scalar as the origin of the 95 GeV excess?

この論文は、標準模型ヒッグスとの小さな混合角を持つ SU(2)LSU(2)_L 三重項スカラー(超電荷 Y=0Y=0)の中性成分が 95 GeV の双光子過剰の起源となり得ることを示唆し、その特徴的な生成メカニズムや 95 GeV 付近の荷電ヒッグス粒子の存在による W ボソン質量への正のシフトなどの検証可能な予測を提示しています。

Saiyad Ashanujjaman, Sumit Banik, Guglielmo Coloretti, Andreas Crivellin, Bruce Mellado, Anza-Tshilidzi Mulaudzi2026-03-23⚛️ hep-ex

Anatomy of the Real Higgs Triplet Model

本論文は、標準模型に実スカラー三重項を追加したモデル(ΔSM)の理論的制約と LHC での現象論的検証を行い、特に 152 GeV 付近の 2 光子事象の過剰から三重項中性ヒッグス粒子の 2 光子崩壊分岐比が約 0.7% である可能性を示唆する結果を報告している。

Saiyad Ashanujjaman, Sumit Banik, Guglielmo Coloretti, Andreas Crivellin, Siddharth P. Maharathy, Bruce Mellado2026-03-23⚛️ hep-ex

Neutron EDM Experiment with an Advanced Ultracold Neutron Source at TRIUMF

TRIUMF の TUCAN コラボレーションは、中性子電気双極子モーメントの感度目標を1027 ecm10^{-27}\ e{\rm cm}とする実験に向けた超低温中性子源のcommissioning と分光器の開発について報告し、2024 年に液体重水素コールド moderator を除く完全な源システムの稼働と初回の超低温中性子生成を達成したことを述べています。

T. Higuchi, B. Algohi, D. Anthony, L. Barrón-Palos, M. Bradley, A. Brossard, T. Bui, J. Chak, R. Chiba, C. Davis, R. de Vries, K. Drury, D. Fujimoto, R. Fujitani, M. Gericke, P. Giampa, R. Golub, T. H (…)2026-03-23🔬 physics.atom-ph