「Hep-Ex」は、素粒子物理学の最前線にある加速器実験の分野を指します。大型加速器で衝突させた粒子の振る舞いを詳しく調べることで、宇宙の根本的な法則や物質の成り立ちを探求する研究です。

Gist.Science は、arXiv から公開されるこの分野の最新プレプリントをすべて網羅的に処理し、専門知識がなくても読める平易な解説と、技術的な詳細を両方備えた要約を提供しています。

以下に、Hep-Ex 分野の最新論文リストを掲載します。

Gluon Sivers function in dijet production at the EIC

この論文は、電子 - 陽子衝突型加速器(EIC)におけるジェット生成の TMD 因子分解定理を用いて横偏極標的に対するグルーオン・シヴァーズ関数を記述する形式を整備し、N3^3LO までの進化核を適用してシヴァーズ非対称性が 5〜50% の大きな値を示すことを予測しています。

Miguel G. Echevarria, Patricia Andrea Gutierrez García, Ignazio Scimemi2026-03-03⚛️ hep-ex

A Particle Detector Array deployed to the Murchison Widefield Array in the Murchison Radio-astronomy Observatory

本論文は、カーボラ天文台に設置された 8 検出器からなる粒子検出器アレイ(MWA PDA)の設計と機能、および 4 PeV 以上の超高エネルギー宇宙線による広範囲空気シャワーの検出・再構成と MWA 電波データ取得のトリガーとしての実証結果を報告するものである。

J. E. Dickinson, J. D. Bray, D. Kenney, T. Booler, J. Edgley, D. Emrich, A. Forouzan, T. Gould, A. McPhail, P. Roberts, R. E. Spencer, L. Verduyn, R. Watson, A. Williams, K. Grainge, A. Haungs, T. Hue (…)2026-03-03⚛️ hep-ex

Testing light and heavy vector mediators with solar CEννNS measurements

XENONnT、PandaX-4T、LUX-ZEPLIN の各実験で得られた太陽ニュートリノ由来の原子核反跳データを統合解析し、太陽ニュートリノフラックスや低運動量領域での弱い混合角の決定、そして標準模型を超える新しいベクトル媒介粒子の探索を通じて、ダークマター直接検出実験がニュートリノ物理学の精密測定において重要な役割を果たしつつあることを示しました。

Valentina De Romeri, Dimitrios K. Papoulias, Federica Pompa, Gonzalo Sanchez Garcia, Christoph A. Ternes2026-03-03⚛️ hep-ex

CelloAI Benchmarks: Toward Repeatable Evaluation of AI Assistants

この論文は、高エネルギー物理学や高性能計算の分野における大規模言語モデルの性能を、ドキュメント生成、GPU カーネルのコード生成、視覚的データ分析の 3 つのトラックで評価する、再現性のある実践的なベンチマーク「CelloAI」を開発したことを報告しています。

Mohammad Atif, Kriti Chopra, Fang-Ying Tsai, Ozgur O. Kilic, Tianle Wang, Zhihua Dong, Douglas Benjamin, Charles Leggett, Meifeng Lin, Paolo Calafiura, Salman Habib2026-03-03⚛️ hep-ex

Deep Learning-Based 14^{14}C Pile-Up Identification in the JUNO Experiment

本論文は、JUNO 実験におけるニュートリノ質量順序の決定に不可欠なエネルギー分解能を向上させるため、深層学習モデル(畳み込みモデルやトランスフォーマーなど)を用いて、陽電子信号と重なりやすく識別が困難な14^{14}C のパイルアップ事象を高精度に同定する手法を提案し、その有効性を示しています。

Wenxing Fang, Weidong Li, Wuming Luo, Zhaoxiang Wu, Miao He2026-03-03⚛️ hep-ex

ImpCresst -- A versatile simulation tool focusing on solid-state detectors at keV energies

CRESST 協力団体が開発し、CAD ファイルからの動的幾何学実装や放射性核種生成器などの多機能性を備えた ImpCresst は、keV エネルギー領域の固体検出器における自然・宇宙由来の放射線背景および較正信号のシミュレーションを可能にする Geant4 ベースの汎用ツールである。

G. Angloher, S. Banik, A. Bento, A. Bertolini, R. Breier, C. Bucci, J. Burkhart, L. Burmeister, L. Canonica, F. Casadei, E. Cipelli, S. Di Lorenzo, J. Dohm, F. Dominsky, A. Erb, E. Fascione, F. von Fe (…)2026-03-03⚛️ hep-ex

Search for massive, long-lived particles in events with displaced vertices and displaced muons in $pp$ collisions at s=13.6\sqrt{s}=13.6 TeV with the ATLAS experiment

ATLAS 実験は、2022 年から 2024 年に収集された 13.6 TeV の陽子 - 陽子衝突データを用いて、変位頂点と変位ミューオンを伴う事象における大質量・長寿命粒子の探索を行い、背景事象を超える有意な超過は見られなかったため、R 対称性破れ超対称性モデルなどのベンチマークモデルに対して 95% 信頼水準で生成断面積の上限を設定しました。

ATLAS Collaboration2026-03-03⚛️ hep-ex

Sensitivity to sub-GeV dark matter in forthcoming spallation-source neutrino experiments

欧州スパレーション中性子源(ESS)、J-PARC、CSNS などの次世代ニュートリノ実験施設におけるコヒーレント弾性ニュートリノ原子核散乱を用いることで、従来の直接探索では困難なサブ GeV 質量のダークマター(ベクトルポータルを介した相互作用)の未探索領域を検出可能であることを示しています。

D. Aristizabal Sierra, V. De Romeri, D. K. Papoulias, G. Sanchez Garcia2026-03-03⚛️ hep-ex