神経科学は、脳や神経系がどのように機能し、思考や感情、行動を生み出すのかを探る分野です。Gist.Science では、この複雑な領域の最新研究成果を、専門用語に頼らず誰でも理解できるようにお届けしています。

当カテゴリに掲載される論文はすべて、生物医学分野のプレプリントサーバー bioRxiv から収集したものです。Gist.Science は bioRxiv に投稿される最新のプレプリントをすべて対象に、平易な要約と詳細な技術解説の両方を提供しています。

以下に、神経科学分野の最新プレプリントをリストアップしました。

Interaction of attentional tuning and localisation of pain maxima shift the balance between lateral inhibition and spatial facilitation in nociceptive processing

本研究は、人間の痛覚処理において側方抑制の証拠は見られなかったものの、注意の向け方や痛みの極大点の知覚位置によって空間的増幅効果が強く調節され、特に両側刺激時に痛みの総和が顕著に増大することを明らかにしました。

Nastaj, J., Szikszay, T. M., Skalski, J., Luedtke, K., Coghill, R. C., Adamczyk, W. M.2026-03-18🧠 neuroscience

Inhibitory network predicts microstimulation-induced circuit changes in the awake mammalian cortex

マウス視覚皮質における生体二光子イメージングを用いた研究により、短時間の皮質内微刺激後に興奮性ニューロンが抑制され抑制性ニューロンが活性化すること、そして興奮性ニューロンの可塑性は刺激中のリクルート量だけでなく近傍の抑制性細胞のリクルート量にも依存し、抑制性ニューロンの可塑性は刺激前の集団結合度によって最もよく説明されることを明らかにしました。

Fang, W., Dadarlat, M., Sun, Y. J.2026-03-18🧠 neuroscience

Multimodal MRI prediction of cognitive functioning across the lifespan: separating between-person differences from within-person changes

ダラス生涯脳研究の 450 人の成人を対象とした縦断解析により、複数の MRI モダリティを統合したマーカーは認知機能の個人差を強く説明できるものの、時間経過に伴う個人内変化の予測には限界があることが示されました。

Konopkina, K., Buianova, I., Lal Khakpoor, F., Pornprasertmanit, S., Chan, M., Pat, N.2026-03-18🧠 neuroscience

Transcranial magnetic stimulation to the dorsolateral prefrontal cortex modulates single-neuron activity in humans

この論文は、うつ病治療に用いられる経頭蓋磁気刺激(TMS)が、前頭前野背外側部への刺激を通じて、深部脳回路の単一ニューロン活動(抑制性ニューロンの促進と興奮性ニューロンの抑制)を即座に調節し、うつ病の細胞レベルのメカニズムを解明したことを示しています。

Dickey, C. W., Hassan, U., Kawasaki, H., Rhone, A. E., Cline, C. C., Howard, M. A., Trapp, N. T., Boes, A. D., Berger, J. I., Keller, C. J.2026-03-18🧠 neuroscience

Soft tactile stimulation engages parabrachial circuits traditionally associated with aversion

本論文は、通常は嫌悪刺激や痛覚処理に関連すると考えられている側傍橋核(lePB)の CGRP 発現ニューロンが、毛並みを撫でるような柔らかい触覚刺激によっても強く活性化されることを示し、これらの神経回路が刺激の嫌悪性だけでなく、感覚刺激の重要性や情動的な意味を符号化している可能性を明らかにしたものである。

Anesten, F., Simfors, S., Ioneskou, K., Hezso, M., Gundogdu, B., Tran, A., Stjernvall, A., Ratiglia, V., Almasri, A., Loken, L. S.2026-03-18🧠 neuroscience

Optogenetic Analysis of Behavior in the Mosquito Aedes aegypti

この論文は、イエカ(Aedes aegypti)の吸血行動を制御する神経回路の因果関係を解明するため、オプトジェネティクス技術を用いて覚醒、誘引、吸血などの各段階を測定する飼育法、行動アッセイ、および機械ビジョン解析を含む包括的な手法とプロトコルを詳述している。

Rami, S., So, M., Travis, C., Jiao, Y., Shamble, P., Sorrells, T. R.2026-03-18🧠 neuroscience

LRP6-Guided Engineering of AAV9 Variants with Enhanced Blood-Brain Barrier Penetration and Reduced Liver Tropism in Non-Human Primates

本研究は、LRP6 を標的とした合理設計により、非ヒト霊長類において血液脳関門への浸透性を大幅に向上させつつ肝臓への集積を抑制した新規 AAV9 ベクターを開発し、中枢神経系遺伝子治療の臨床応用に向けた重要な進展を達成したことを示しています。

Wang, Z., Xu, X., Sun, Z., Li, H., He, R., Xu, Y., Yu, M., Wang, S., Hu, C., Liu, L., Ren, L., Zhang, L., Xiao, T., Luo, Y., An, Z.2026-03-18🧠 neuroscience

Motion-Dependent Object Perception Reveals Limits of Current Video Neural Networks

本論文は、静止画では見分けがつかない隠蔽された物体の認識において、人間が運動情報によって性能を向上させるのに対し、従来の画像ベースのモデルはこれを再現できず、霊長類の視覚野(IT 野)の神経活動と整合性のある動画モデルのみが人間のこの動的な知覚メカニズムを捉えうることを示している。

Dunnhofer, M., Uwisengeyimana, J. D. D., Kar, K.2026-03-18🧠 neuroscience