神経科学は、脳や神経系がどのように機能し、思考や感情、行動を生み出すのかを探る分野です。Gist.Science では、この複雑な領域の最新研究成果を、専門用語に頼らず誰でも理解できるようにお届けしています。

当カテゴリに掲載される論文はすべて、生物医学分野のプレプリントサーバー bioRxiv から収集したものです。Gist.Science は bioRxiv に投稿される最新のプレプリントをすべて対象に、平易な要約と詳細な技術解説の両方を提供しています。

以下に、神経科学分野の最新プレプリントをリストアップしました。

Ex vivo Infrared Nerve Stimulation on the Rat Sciatic Nerve: Challenges and Pitfalls

この論文は、ラットの坐骨神経を用いた新規な体外赤外線神経刺激(INS)装置の開発とその有効性を示すとともに、光熱膨張や光起電効果などのアーチファクトという課題を特定し、解決策を提案したものである。

Izquierdo Geiser, C., Muenkel, C., Schlett, P., Campbell, P., Borisova, G. D., Wegner, C., Somerlik-Fuchs, K., Hofmann, U.2026-03-09🧠 neuroscience

Genetic insights on the mechanisms of human cortical folding

本論文は、希少変異と共通変異の両方からヒトの脳溝の複雑さの遺伝的基盤を初めて包括的にマッピングし、胎児期の脳形成メカニズムと神経発達症候群の病態解明に新たな洞察をもたらしました。

Snyder, W. E., Shafee, R., Liu, S., Levitis, E., Duan, K., Kumar, K. E., Schleifer, C. H., Boen, R., Ching, C. R., Han, J. C., Lee, N., Mulle, J. G., Shultz, S., Jacquemont, S., Bearden, C. E., Vertes (…)2026-03-09🧠 neuroscience

Limb-Selective Regions in the Lateral Temporal Lobe Shrink from Childhood to Adulthood

本研究は、fMRI 画像を用いた比較解析により、手足の選択的領域が腹側視覚路だけでなく側頭葉の側面(特に左半球)においても、幼少期から成人期にかけて縮小することを初めて明らかにし、一方、体全体の選択的領域には同様の発達的変化が見られないことを示しました。

Cohnen, S., Kahler, L., Yun, S. D., Konrad, K., Nordt, M.2026-03-09🧠 neuroscience

A transition-prone brain state precedes spontaneous behavioral switching

本研究は、機能性超音波イメージングとオプトジェネティクスを用いて、マウスが自発的に行動を開始する約 10 秒前に、内側中隔を含む脳領域の活動低下という「遷移しやすい脳状態」が全脳レベルで先行して生じ、これが行動の転換を予測・誘導することを明らかにしました。

Wanken, P., Edelman, B. J., Behera, L., Martinez de Paz, J. M., McCarthy, P. T., Mace, E.2026-03-09🧠 neuroscience

A Knock-In Igfn1iCre transgenic mouse line provides partial developmental access to type-7 bipolar cells

本論文は、成体で方向選択性を示す第 7 型双極細胞の分子マーカーである Igfn1 を用いたノックイン Cre マウス系統(Igfn1iCre)を作出・解析し、これが網膜の発生過程において第 7 型双極細胞への遺伝的アクセスを可能にする有望なツールであることを示した。

Chaturvedi, S., Yamamoto, H., Matsumoto, A., Abe, M., Sasaoka, T., YONEHARA, K.2026-03-09🧠 neuroscience

EEG correlates of auditory rise time processing: A systematic review

本論文は、音声の立ち上がり時間処理に関する37 件の研究を体系的にレビューし、立ち上がり時間の延長がイベント関連電位(ERP)の主要成分の振幅低下と潜時延長をもたらすこと、およびその感受性が刺激の時間的スケールや実験条件、被験者の年齢や臨床的背景によって異なることを明らかにしたものである。

Manasevich, V., Kostanian, D., Rogachev, A., Sysoeva, O.2026-03-09🧠 neuroscience

Beyond model-free Pavlovian responding: a two-stage Pavlovian-instrumental transfer paradigm

本研究は、確率的な構造を利用した新しい二段階パブロフ的・道具的転移(PIT)課題を開発し、単一のレバー操作であってもパブロフ的反応がモデルフリーではなくモデルベースの学習メカニズムによって駆動され、かつその制御が心の wander(漫然思考)によって選択的に阻害されることを実証しました。

Wirth, L. A., Sadedin, N., Meder, B., Schad, D. J.2026-03-09🧠 neuroscience

Distinct beta burst motifs exhibit opposing error relationships during motor adaptation

高密度 MEG を用いた研究により、運動適応におけるベータ帯域活動は単一な持続振動ではなく、波形が異なり誤差と逆の関係を有する複数の一過性バーストから構成され、その多様性を考慮することが適応行動の理解に不可欠であることが示されました。

Moreau, Q., Szul, M. J., Daligaut, S., Schwartz, D. P., Bonaiuto, J. J.2026-03-09🧠 neuroscience

The Impact of BOLD Induced Linewidth Modulation on Functional 1H MRS Analysis

本研究は、機能的 MRS 解析において BOLD 応答に伴うスペクトル線幅の変化が代謝物推定に生じるバイアスを示し、3T 以上でのタスクベース fMRS 研究には、従来の解析における明示的な線幅補正または 2 次元解析における直接モデリングによるバイアス低減が不可欠であると結論付けています。

Wilson, M., Finney, S. M., Clarke, W. T.2026-03-09🧠 neuroscience