「Nucl-Ex」は、原子核そのものの構造や性質、そして高エネルギーの衝突実験によって生まれる物質の振る舞いを解明する実験物理学の分野です。ここでは、素粒子の集まりがどのようにして宇宙の基礎を形作っているのか、あるいは極限状態でのみ現れる物質の新たな姿について、最先端の知見が日々積み重ねられています。

Gist.Science では、arXiv に投稿されるこの分野の全ての新しいプレプリントを網羅的に収集・処理しています。専門用語に埋もれがちな複雑な研究成果を、誰でも理解できる平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両面で提供し、科学の最前線へのアクセスを民主化します。

以下に、この分野から直近で arXiv に公開された論文の一覧を掲載します。

Beam Energy Measurement using a Bayesian Approach with the Stacked Foil Method

本論文は、積層フォイル法と48^{48}V放射能を用いた医療用サイクロトロンにおける陽子ビームエネルギー測定のための堅牢なベイズ手法を提示し、直接的な電荷測定に依存することなく、その精度、不確かさの処理、および多様な実験条件への適合性を実証するものである。

Alexander Gottstein, Lorenzo Mercolli, Eva Kasanda, Isidre Mateu, Lars Eggimann, Elnaz Zyaee, Gaia Dellepiane, Pierluigi Casolaro, Paola Scampoli, Saverio Braccini2026-01-28⚛️ nucl-ex

Design and development of optical modules for the BUTTON-30 detector

本論文は、将来の大規模観測装置や原子炉監視のためのガドリニウム添加水ベース液体シンチレータの試験を目的とした、STFCボールビー地下施設に設置されるニュートリノ検出器デモンストレーター「BUTTON-30」用の防水光学モジュールの設計および製作の詳細を述べるものである。

D. S. Bhattacharya, J. Bae, M. Bergevin, J. Boissevain, S. Boyd, K. Bridges, L. Capponi, J. Coleman, D. Costanzo, T. Cunniffe, S. A. Dazeley, M. V. Diwan, S. R. Durham, E. Ellingwood, A. Enqvist, T. G (…)2026-01-27⚛️ nucl-ex

Three-body resonances of ααMααM clusters (M=ϕM=ϕ, J/ψJ/ψ, ηcη_c) in M8Be^{8}_{M}{\mathrm{Be}} nuclei

本研究は、HAL QCDポテンシャルおよびガウス展開法を用いて、ϕ\phiJ/ψJ/\psi、およびηc\eta_c中間子が8^8Be原子核に及ぼす構造的効果を調査し、ϕ\phi中間子が系を安定状態へと強く結合させる一方で、J/ψJ/\psiおよびηc\eta_cの相互作用はより弱く浅い束縛状態のみを形成すること、ならびに、新たなα\alpha-チャームオニウム束縛状態に関する具体的な予測とJ/ψ8Be^{8}_{J/\psi}\text{Be}の非ボルローメアン的性質を明らかにしている。

Hao Zhou, Xiang Liu2026-01-27⚛️ nucl-ex

Tensor-polarized parton distribution functions for spin-1 hadrons

本論文は、次世代の重水素実験の文脈における、高次ツイスト(twist 4)までの高次ツイスト分布および関連する横運動量依存関数、グルオン・トランスバーシティ、および、リーディング・ツイスト構造関数を網羅する、スピン1ハドロンのテンソル偏極パルトン分布関数に関する簡潔な概説を提供するものである。

S. Kumano2026-01-27⚛️ nucl-ex

Nuclear effects on longitudinal-transverse structure function ratio in the deuteron

本論文は、横方向のフェルミ運動に起因する重陽子における縦方向・横方向構造関数比RNR_Nへの核修飾が数パーセントのオーダーであり、高エネルギー核データの解析および将来の実験的研究において考慮されるべきであることを、理論的に示し、かつ数値的に計算するものである。

S. Kumano2026-01-27⚛️ nucl-ex

Analysis of M1M1 capture in the α(d,γ)6α(d,γ)^6Li reaction

本論文は、有効演算子を用いてα(d,γ)6Li\alpha(d,\gamma)^6\text{Li}反応におけるM1M1捕獲を解析し、初期状態の歪みがなければ等スカラーM1M1遷移が禁止されること、および主要な寄与がアイソスピン1成分への遷移に由来することを実証しており、報告されているM1M1 SS因子の不一致に対する潜在的な説明を提示している。

Ergash M. Tursunov, Daniel Baye2026-01-26⚛️ nucl-ex