「Nucl-Ex」は、原子核そのものの構造や性質、そして高エネルギーの衝突実験によって生まれる物質の振る舞いを解明する実験物理学の分野です。ここでは、素粒子の集まりがどのようにして宇宙の基礎を形作っているのか、あるいは極限状態でのみ現れる物質の新たな姿について、最先端の知見が日々積み重ねられています。

Gist.Science では、arXiv に投稿されるこの分野の全ての新しいプレプリントを網羅的に収集・処理しています。専門用語に埋もれがちな複雑な研究成果を、誰でも理解できる平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両面で提供し、科学の最前線へのアクセスを民主化します。

以下に、この分野から直近で arXiv に公開された論文の一覧を掲載します。

⚛️ nuclear theory

Anisotropic flows in Au+Au collisions at sNN=2.4GeV\sqrt{s_{\rm{NN}}} = 2.4\,\text{GeV} with a Skyrme pseudopotential

ハデス実験による Au+Au 衝突(sNN=2.4GeV\sqrt{s_{\rm{NN}}} = 2.4\,\text{GeV})における陽子の異方性流れを、密度・運動量・アイソスピン依存性を備えた N$5$LO スカイルム擬ポテンシャルを用いた輸送モデルで系統的に解析した結果、核物質の状態方程式の非圧縮率や運動量依存性、および核子 - 核子弾性断面積の媒介中修正が流れに敏感に影響を与える一方、高密度領域の対称エネルギーの影響は限定的であることが示された。

Xin Li, Si-Pei Wang, Rui Wang, Zhen Zhang, Jie Pu, Chun-Wang Ma, Lie-Wen Chen2026-02-20
⚛️ high-energy experiments

Dielectron production in proton-proton and proton-lead collisions at sNN\sqrt{s_{\rm{NN}}} = 5.02 TeV

ALICE 実験により、LHC における 5.02 TeV の陽子 - 陽子および陽子 - 鉛衝突での中間ラピディティにおけるダイ電子生成が初めて測定され、その断面積や核変換因子 RpPbR_{\rm{pPb}} が理論計算と比較され、核物質効果や熱的放射などのモデル検証に貢献しました。

ALICE Collaboration2026-02-19
⚛️ nuclear experiments

Measurement of ψ(2S)ψ(2S) to J/ψJ/ψ cross-section ratio as function of multiplicity in ppPb collisions atsNN=8.16\sqrt{s_{NN}} = 8.16 TeV

LHCb 実験による 8.16 TeV の pPb 衝突データを用いた解析により、ψ(2S)\psi(2S)J/ψJ/\psi の生成比が衝突の多重度に依存して変化する現象が観測され、特に Pb 進行方向ではクォーク・グルーオンプラズマの形成など、コモバー効果を超えた新たな抑制メカニズムの存在が示唆された。

LHCb collaboration, R. Aaij, A. S. W. Abdelmotteleb, C. Abellan Beteta, F. Abudinén, T. Ackernley, A. A. Adefisoye, B. A (…)2026-02-19
⚛️ nuclear experiments

Σ±\overlineΣ^{\pm} production in pp and p-Pb collisions at sNN\sqrt{s_{\rm NN}} = 5.02 TeV with ALICE

ALICE 実験を用いた 5.02 TeV の pp および p-Pb 衝突において、PHOS 検出器による反中性子再構成という新手法を適用して反Σ\Sigmaハイオンの横運動量スペクトルと全生成量を測定し、その結果が EPOS LHC や EPOS4 などのモデルとよく一致することを確認しました。

ALICE Collaboration2026-02-19
⚛️ nuclear experiments

Multiplicity dependence of f0_0(980) production in pp collisions at s=13\sqrt{s} = 13 TeV

ALICE 検出器を用いた 13 TeV の pp 衝突実験において、f0_0(980) 粒子の生成が荷電粒子多重度に依存して変化する様子が報告され、その粒子比の減少傾向は f0_0(980) に隠れたストレンジネス成分が存在しないという仮定に基づく統計熱モデルの予測とよく一致することが示されました。

ALICE Collaboration2026-02-19
⚛️ nuclear experiments

Σ+Σ^{+} production in pp collisions at s=13\sqrt{s} = 13 TeV

ALICE 実験における 13 TeV の陽子 - 陽子衝突で、中性パイオンを光子変換とカロリメータの組み合わせで再構成する革新的な手法を用いてΣ+\Sigma^{+}粒子の生成を測定し、その運動量分布やΛ\Lambda粒子との比率を報告するとともに、中性子星の物性理解に寄与する将来のΣ+\Sigma^{+}-陽子相互作用研究への道を開いた。

ALICE Collaboration2026-02-19