核物理学は、物質の最小単位である原子核の構造や性質、そしてその中で起こる反応を探求する分野です。宇宙の成り立ちからエネルギーの源まで、私たちの世界を支える基礎的な原理を解き明かす鍵となる研究領域です。

Gist.Science では、arXiv に投稿されたこの分野の最新プレプリントをすべて収集し、専門用語に頼らない平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を提供しています。複雑な理論や実験結果も、誰でも理解しやすい形に整理してお届けします。

以下に、核物理学に関する最新の論文リストを掲載します。

Novel microscopic approaches for Spin-Isospin excitations and Beta-decay

この論文は、現実的な対相互作用とテンソル相関を取り入れた自己無撞合ハートリー・フォック+RPA および 2 粒子 2 ホール状態との結合を含む SSRPA といった微視的モデルを用いて、スピン・アイソスピン励起やベータ崩壊における磁気双極子および Gamow-Teller 遷移のクエンチング問題、ならびに半魔法数・魔法数原子核のベータ崩壊寿命を統一的に記述する手法を提案・検討している。

Hiroyuki Sagawa2026-04-20⚛️ nucl-th

Delineating neutral and charged mesons in magnetic fields

この論文は、調和振動子型の閉じ込めポテンシャルを持つ非相対論的クォークモデルを用いて、中性および帯電メソンの磁場中での性質を弱磁場から強磁場まで解析し、中性と帯電メソンの運動の質的な違いや、スピンが大きい帯電メソンのエネルギー安定性を保証するゼロ点エネルギーとゼーマン効果の相殺メカニズムを明らかにしています。

Toru Kojo, Sakura Itatani2026-04-20⚛️ hep-lat

Charge radii of Sn isotopes in the relativistic mean field approximation

この論文は、相対論的平均場理論を用いてスズ同位体の核電荷半径における N=82 付近の「折れ曲がり」現象を解析し、フェルミ準位付近の中性子状態のディラックスピノルの小成分がプロトンの中心ポテンシャルを通じてその形成に重要な役割を果たすことを示したが、この効果だけでは観測される折れ曲がりの大きさを完全に説明できないと結論付けている。

S. Marcos, N. Sandulescu, R. Niembro2026-04-20⚛️ nucl-th

Exact expectation values in a boost-invariant fluid of Dirac fermions with finite spin density

この論文は、有限スピンポテンシャルを持つ非相互作用のディラック粒子からなるブースト不変の非平衡流体を研究し、スピン偏極やスピントルクなどの物理量の厳密な期待値を解析的・数値的に計算することで、自由理論において有限スピンポテンシャルがスピン偏極の唯一の源であり、せん断誘起偏極やスピンホール効果が存在しないことを示しています。

Andrea Palermo, Daniele Roselli2026-04-20⚛️ nucl-th

Charged-current quasielastic-like neutrino scattering from 12^{12}C in the coherent density fluctuation model with two-nucleon emission

本論文は、相対論的有効質量を考慮したコヒーレント密度揺らぎモデル(CDFMM_{M^*})を用いて、12^{12}C に対する荷電流準弾性散乱および 2 核子放出過程の断面積を計算し、MiniBooNE や T2K などの加速器実験データとの比較を通じて、Δ\Delta共鳴の励起における軸性形状因子 C5A(0)C^A_5(0) の値や運動量転移領域ごとの結果を詳細に評価している。

M. V. Ivanov, A. N. Antonov2026-04-20⚛️ nucl-th

Isospin-symmetry violation -- kaons and beyond (ISO-BREAK 25: summary and outlook)

この論文は、2025 年 10 月に開催された「ISO-BREAK 25」ワークショップの総括として、CERN SPS における NA61/SHINE 実験などで発見・確認された核子 - 核子衝突におけるアイソスピン対称性の破れ現象の現状、理論的検討、および将来の優先課題を論じている。

Marek Gazdzicki (Jan Kochanowski University, Kielce, Poland), Francesco Giacosa (Jan Kochanowski University, Kielce, Poland), Katarzyna Grebieszkow (Warsaw University of Technology, Warsaw, Poland), D (…)2026-04-20⚛️ nucl-ex

Systematic study of flow of protons and light clusters in intermediate-energy heavy-ion collisions with momentum-dependent potentials

この論文は、PHQMD 法を用いて中間エネルギー重イオン衝突におけるプロトンおよび軽原子核の集団的流れを研究し、運動量依存ポテンシャルを含む柔らかい核物質状態方程式が実験データとよく一致すること、および集団的流れの観測量が原子核クラスターの生成メカニズムを区別する手がかりとなり得ることを示しています。

Viktar Kireyeu, Vadim Voronyuk, Michael Winn, Susanne Gläßel, Jörg Aichelin, Christoph Blume, Elena Bratkovskaya, Gabriele Coci, Jiaxing Zhao2026-04-17⚛️ nucl-ex

Valence quark-stopping and gluon junction-stopping scenarios in electron-nucleus collisions at the forthcoming Electron-Ion Collider: Which one is correct?

本論文は、マルチソース熱モデルを用いた解析により、高エネルギー衝突におけるバリオン数輸送メカニズムとして「価クォック停止シナリオ」が「グルーオン・ジャンクション停止シナリオ」よりも妥当であることを示し、今後の電子 - 原子核衝突実験(EIC)でのさらなる検証を期待しています。

Ting-Ting Duan, Fu-Hu Liu, Khusniddin K. Olimov2026-04-17⚛️ nucl-ex