核物理学は、物質の最小単位である原子核の構造や性質、そしてその中で起こる反応を探求する分野です。宇宙の成り立ちからエネルギーの源まで、私たちの世界を支える基礎的な原理を解き明かす鍵となる研究領域です。

Gist.Science では、arXiv に投稿されたこの分野の最新プレプリントをすべて収集し、専門用語に頼らない平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を提供しています。複雑な理論や実験結果も、誰でも理解しやすい形に整理してお届けします。

以下に、核物理学に関する最新の論文リストを掲載します。

Linear sigma model with quarks and Polyakov loop in rotation: phase diagrams, Tolman-Ehrenfest law and mechanical properties

この論文は、回転するクォークとポリャコフループを備えた線形シグマモデルを用いて、回転が QCD の相図やトランス・エレンフェストの法則、および回転プラズマの機械的性質に与える影響を研究し、回転の増加に伴う臨界温度の低下という格子 QCD の結果との矛盾を示したことを報告しています。

Pracheta Singha, Sergiu Busuioc, Victor E. Ambrus, Maxim N. Chernodub2026-04-15⚛️ nucl-th

Combined Evidence for the X17X_{17} Boson After PADME Results on Resonant Production in Positron Annihilation

PADME 実験による陽電子対消滅における 17 MeV 付近の過剰事象の報告は、原子核遷移で観測された異常と一致し、これらを統合することで仮説の X17 ボソンの質量を 16.88 ± 0.05 MeV とより高精度に決定し、その存在可能性を強化するものです。

Fernando Arias-Aragón, Giovanni Grilli di Cortona, Enrico Nardi, Claudio Toni2026-04-15⚛️ nucl-ex

Extended applicability domain of viscous anisotropic hydrodynamics in (2+1)-D Bjorken flow with transverse expansion

この論文は、(2+1) 次元の Bjorken 流れにおける粘性異方性流体力学(VAH)のシミュレーションを通じて、従来の流体力学よりも広範な不透明度の範囲で運動論的理論をよりよく記述し、特に従来の手法が困難をきたす小規模系における集団流の記述可能性を高めることを示しています。

Yiyang Peng, Victor E. Ambrus, Clemens Werthmann, Sören Schlichting, Ulrich Heinz, Huichao Song2026-04-15⚛️ nucl-th

Diffractive vector meson photo-production in oxygen-oxygen and neon-neon ultraperipheral collisions at energies available at the CERN Large Hadron Collider

CERN の LHC における酸素 - 酸素およびネオン - ネオンの超中心衝突から得られるベクトルメソン光核反応の断面積を、Woods-Saxon 模型と PGCM に基づく核形状モデルを用いて予測し、コヒーレントおよび非コヒーレント過程の解析が核モデルの制約やグルーオン飽和領域への接近を検証する有効な手段となることを示しています。

J. Cepila, J. G. Contreras, M. Matas, A. Ridzikova2026-04-15⚛️ nucl-th

Decomposition of angular momentum projected nuclear wave function

本論文では、従来の角運動量投影核波動関数を、中性子と陽子それぞれで投影した後に結合させた「結合投影基底」を用いて分解する新たな恒等式を導出するとともに、sd 殻原子核の基底状態における波動関数の分解を通じて核状態の構造(特に偶偶核でも核子が完全に対を形成していないこと)を明らかにし、結合投影基底を採用することで変法後投影殻模型(VAPSM)の波動関数をさらに改善できることを示しています。

Wen Chen, Zhan-Jiang Lian, Xue-Wei Li, Xin-Yang Xia, Zi-Yang He, Ke-Zheng Ruan, Zao-Chun Gao2026-04-15⚛️ nucl-th

Search for the QCD Critical Point in High Energy Nuclear Collisions: A Status Report

この論文は、RHIC の BES-II 実験(衝突モードおよび固定標的モード)で得られたネット陽子多重度揺らぎの 4 次までの累積量および階乗累積量比を、格子 QCD や HRG、UrQMD などの非臨界モデルと比較・検討し、QCD 臨界点の探索における現状と将来展望を報告するものである。

Yu Zhang, Zhaohui Wang, Xiaofeng Luo, Nu Xu2026-04-15⚛️ nucl-ex

Finite temperature effects on g-modes of inviscid neutron stars

この論文は、無粘性中性子星の核心における温度が、核対称エネルギーの密度依存性を表すパラメータLLによって支配されるggモードの周波数に及ぼす影響を研究し、温かい中性子星のggモード周波数がLLの値に応じて冷たい場合よりも高くなるか低くなるかを示し、中性子星の観測による対称エネルギーの制約の可能性を明らかにしています。

David Morales-Zapien, Prashanth Jaikumar, Thomas Klähn2026-04-15🔭 astro-ph

Parameter-free deformation variables of the proxy-SU(3) symmetry in even-even atomic nuclei with Z=28-82, N=28-126

この論文は、代理 SU(3) 対称性に基づくパラメータフリーの手法を用いて、Z=28-82、N=28-126 の範囲にある偶数 - 偶数原子核の対称性最高重み(および必要に応じて次最高重み)既約表現を特定し、それらから変形パラメータβとγを予測するための完全な表と具体的な事例を提供するものである。

Dennis Bonatsos, V. K. B. Kota, Andriana Martinou, S. K. Peroulis, D. Petrellis, P. Vasileiou, T. J. Mertzimekis, N. Minkov2026-04-15⚛️ nucl-th