核物理学は、物質の最小単位である原子核の構造や性質、そしてその中で起こる反応を探求する分野です。宇宙の成り立ちからエネルギーの源まで、私たちの世界を支える基礎的な原理を解き明かす鍵となる研究領域です。

Gist.Science では、arXiv に投稿されたこの分野の最新プレプリントをすべて収集し、専門用語に頼らない平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を提供しています。複雑な理論や実験結果も、誰でも理解しやすい形に整理してお届けします。

以下に、核物理学に関する最新の論文リストを掲載します。

Recent ALICE results from light-ion collision systems

この論文は、2025 年 7 月に LHC で実現された pO、OO、Ne--Ne 衝突における ALICE 実験の最新結果(荷電粒子の擬ラピディティ密度やフロー係数、中性パイオンの抑制など)を報告し、小規模衝突系における粒子生成や集団現象、パートンエネルギー損失の理解に理論モデルとの比較を通じて重要な知見を提供するものである。

Abhi Modak (on behalf of the ALICE Collaboration)2026-04-09⚛️ nucl-ex

Light mesons in the symmetric-vertex approximation

この論文では、対称性を保存する近似手法を用いて完全なクォーク・グルーオン頂点を組み込んだダイナミクス方程式を解き、シュレッシングャー法によってミンコフスキー領域の質量を導出することで、実験値とよく一致しラダー近似を大幅に上回る軽クォークからなる軽メソンの質量スペクトルを計算した。

M. N. Ferreira, A. S. Miramontes, J. M. Morgado, J. Papavassiliou2026-04-09⚛️ hep-lat

Nuclear giant resonances from first principles

この論文は、エネルギー密度汎関数アプローチに代わる第一原理に基づく核巨共振の記述を目的として、ランダム位相近似や結合クラスター理論など主要な多体手法の理論的基盤と計算実装を概観し、16^{16}O や40^{40}Ca などのベンチマーク核における予測を実験観測量と対比して批判的に比較検討するものである。

Sonia Bacca, Francesco Marino, Andrea Porro2026-04-09⚛️ nucl-th

Parity-transfer (16O,16F(0,g.s.))({}^{16}{\rm O},{}^{16}{\rm F}(0^-,{\rm g.s.})) reaction as a selective probe of isovector 00^- states in nuclei

本研究は、16O{}^{16}\mathrm{O} 核の基底状態 (00^-) へのパリティ移動反応が原子核内のアイソベクトル 00^- 励起状態を特異的にプローブする強力な手法であることを、12C{}^{12}\mathrm{C} 標的を用いた実験により実証しました。

M. Dozono, M. Ichimura, S. Michimasa, M. Takaki, M. Kobayashi, M. Matsushita, S. Ota, H. Tokieda, N. Fukuda, N. Inabe, S. Kawase, K. Kisamori, Y. Kiyokawa, K. Kobayashi, T. Kubo, Y. Kubota, C. S. Lee (…)2026-04-08⚛️ nucl-ex

Two-neutrino ββββ decay to excited states at next-to-leading order

この論文は、核殻モデルとカイラル有効場理論を用いて、76^{76}Ge や82^{82}Se などの原子核における励起状態への二中性子ベータ崩壊の核行列要素を計算し、次世代項(NLO)の寄与が主に 5% 未満であるが、先行項の相殺により増大する可能性や、核変形の影響を分析し、予測される半減期が現在の実験限界と整合的であることを示しています。

Daniel Castillo, Dorian Frycz, Beatriz Benavente, Javier Menéndez2026-04-08⚛️ nucl-ex

New Elementary Operator for Kaon Photoproduction on the Nucleon and Nuclei

この論文では、ファインマン図法に基づき全 6 つのアイソスピンチャネルの実験データに適合するよう結合定数を調整した、核子および原子核に対するカオン光生成の新しい要素演算子を提案し、26 個の核子共鳴と 17 個のデルタ共鳴を含むこの演算子を非相対論近似で適用可能なパウリ空間形式に定式化して超核光生成などの原子核反応への応用を可能にしている。

Terry Mart, Jovan Alfian Djaja2026-04-08⚛️ nucl-th

Double pole SS-matrix singularity in the continuum of 7^7Be

本研究は、ガモウ殻模型の枠組みを用いて、7^7Be のスペクトルにおける5/25/2^-二重項共鳴に関連するSS行列の二重極特異点(特異点)を同定し、共鳴の波動関数とスペクトル関数の合体、および分光学的因子と電磁遷移の特異的な振る舞いによってこれを証明したものである。

David Cardona Ochoa, Marek Płoszajczak, Nicolas Michel, Simin Wang2026-04-08⚛️ nucl-th