核物理学は、物質の最小単位である原子核の構造や性質、そしてその中で起こる反応を探求する分野です。宇宙の成り立ちからエネルギーの源まで、私たちの世界を支える基礎的な原理を解き明かす鍵となる研究領域です。

Gist.Science では、arXiv に投稿されたこの分野の最新プレプリントをすべて収集し、専門用語に頼らない平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を提供しています。複雑な理論や実験結果も、誰でも理解しやすい形に整理してお届けします。

以下に、核物理学に関する最新の論文リストを掲載します。

Memory effect on the heavy quark dynamics in hot QCD matter

この論文は、カプト分数微分を用いた分数階微分方程式で記述されるべき時間相関熱雑音(パワールー減衰)を含む一般化ランジュバン方程式の枠組みにおいて、クォーク・グルーオンプラズマ中の重クォークの動力学が記憶効果によってどのように影響を受けるかを、運動量相関や平均二乗変位などの量を通じて解析したものである。

Jai Prakash, Ling Hai Li, Ying Shan Zhao, Yifeng Sun2026-04-10⚛️ hep-ph

Kinetic and canonical momentum broadening in the Glasma

この論文は、重イオン衝突のグラスマ相における粒子の運動を記述する量子形式の基礎を確立し、ゲージ不変性を考慮した運動量(運動量と正準運動量)の定義と時間発展を古典的な Wong 方程式と対応させることで、横方向の場成分による運動量広がりや数値計算の精度向上に寄与する最適化された枠組みを提示しています。

Dana Avramescu, Carlos Lamas, Tuomas Lappi, Meijian Li, Carlos A. Salgado2026-04-10⚛️ nucl-th

K(892)K^*(892) Resonance Suppression in Ar+Sc Collisions at SPS Energies

NA61/SHINE の実験データと比較した UrQMD モデルによる解析により、SPS エネルギー領域の Ar+Sc 衝突におけるK(892)K^*(892)共鳴粒子の生成と抑制が調べられ、モデルは共鳴ダイナミクスの本質的な特徴を捉えているものの、中心衝突で観測される非常に強い抑制の定量的再現には至っていないことが示されました。

Amine Chabane, Tom Reichert, Jan Steinheimer, Marcus Bleicher2026-04-09⚛️ nucl-th

Nucleon axial-vector form factor and radius from radiatively-corrected antineutrino scattering data

本論文は、放射補正を適用して MINERvA 反ニュートリノ散乱データから核子の軸ベクトル形状因子およびその半径を抽出し、格子 QCD 計算との比較やニュートリノ散乱実験における不確定性への影響を論じています。

Oleksandr Tomalak, Aaron S. Meyer, Clarence Wret, Tejin Cai, Richard J. Hill, Kevin S. McFarland2026-04-09⚛️ nucl-ex

Recent ALICE results from light-ion collision systems

この論文は、2025 年 7 月に LHC で実現された pO、OO、Ne--Ne 衝突における ALICE 実験の最新結果(荷電粒子の擬ラピディティ密度やフロー係数、中性パイオンの抑制など)を報告し、小規模衝突系における粒子生成や集団現象、パートンエネルギー損失の理解に理論モデルとの比較を通じて重要な知見を提供するものである。

Abhi Modak (on behalf of the ALICE Collaboration)2026-04-09⚛️ nucl-ex

Light mesons in the symmetric-vertex approximation

この論文では、対称性を保存する近似手法を用いて完全なクォーク・グルーオン頂点を組み込んだダイナミクス方程式を解き、シュレッシングャー法によってミンコフスキー領域の質量を導出することで、実験値とよく一致しラダー近似を大幅に上回る軽クォークからなる軽メソンの質量スペクトルを計算した。

M. N. Ferreira, A. S. Miramontes, J. M. Morgado, J. Papavassiliou2026-04-09⚛️ hep-lat