核物理学は、物質の最小単位である原子核の構造や性質、そしてその中で起こる反応を探求する分野です。宇宙の成り立ちからエネルギーの源まで、私たちの世界を支える基礎的な原理を解き明かす鍵となる研究領域です。

Gist.Science では、arXiv に投稿されたこの分野の最新プレプリントをすべて収集し、専門用語に頼らない平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を提供しています。複雑な理論や実験結果も、誰でも理解しやすい形に整理してお届けします。

以下に、核物理学に関する最新の論文リストを掲載します。

Fluctuation-Dissipation Relation for Hard Partons in a Gluonic Plasma

この論文は、非摂動的な熱平衡グルーオンプラズマ中を運動する高エネルギーの軽いクォークについて、真空の寄与を差し引いた局所演算子を用いた複素関数解析と輪郭積分の手法により、縦方向の摩擦係数と縦・横方向の拡散係数および熱的グルーオン凝縮を結びつける揺動散逸関係を導出したものである。

Amit Kumar, Abhijit Majumder, Ismail Soudi, Johannes Heinrich Weber2026-03-16⚛️ hep-lat

Slowly Rotating Two-Fluid Neutron Stars: Coupled Frame-Dragging, Inertia Splitting, and Universal Relations

この論文は、時空曲率を介してのみ相互作用する二流体中性子星の回転応答を扱う完全相対論的枠組みを構築し、固有の集団回転モードと有効慣性モーメントを定義するとともに、ダークマターの存在下での回転・潮汐変形普遍性の成否がダークセクターの微視的物理学に依存することを示しています。

Ankit Kumar, Hajime Sotani2026-03-16⚛️ nucl-th

Probing the chiral and U(1)U(1) axial symmetry restoration via meson susceptibilities in holographic QCD

この論文は、ソフトウォール・ホログラフィック QCD モデルを用いて有限温度におけるカイラル対称性とU(1)U(1)軸対称性の回復を調べ、両者の回復スケールが異なる可能性を示唆しつつ、U(1)U(1)軸対称性の回復記述に格子 QCD との定性的な乖離があることを明らかにしている。

Hiwa A. Ahmed, Danning Li, Mamiya Kawaguchi, Mei Huang2026-03-16⚛️ nucl-th

Threshold-Aligned Pygmy Dipole Strength in Astrophysical (n,γ)(n,\gamma) and (γ,n)(\gamma,n) Reactions

本論文は、相対論的核エネルギー密度汎関数理論に基づく低エネルギー・ピグミー双極子共鳴の強度分布をハウザー・ファッシュバック統計モデルに適用した結果、r 過程核合成における反応率の増大は低エネルギー領域の総強度ではなく、ピグミー共鳴のエネルギーが中性子分離エネルギーと一致するかどうかによって支配されることを示し、特に68^{68}Ni や132^{132}Sn などの原子核で顕著な効果が観測されることを明らかにした。

T. Ghosh, A. Kaur, N. Paar2026-03-16⚛️ nucl-th

π\pi, K, and p production in high-multiplicity pp collisions at s=13\sqrt{s} = 13 TeV

ALICE 実験により、LHC の 13 TeV 陽子 - 陽子衝突の高多重度事象におけるπ\pi、K、p 粒子の生成を測定した結果、重イオン衝突で観測されるような質量依存のpTp_{\rm T}スペクトル硬化や中間pTp_{\rm T}領域での p/π\pi比の増大が確認され、粒子生成が衝突エネルギーや系サイズではなく荷電粒子多重度にスケーリングすることが示唆されたが、PYTHIA 8 や EPOS4 などの既存モデルはこれらの特徴を完全に再現できていない。

ALICE Collaboration2026-03-16⚛️ nucl-ex

Measurement of correlations between elliptic flow and mean transverse momentum in pp, p-Pb, and Pb-Pb collisions at the LHC

ALICE 実験の LHC Run 2 データを用いた pp、p-Pb、Pb-Pb 衝突における楕円流と平均横運動量の相関測定により、小規模衝突系における集団的現象の起源や初期状態の理解が深められ、既存の理論モデルに対する強い制約が課されたことが報告されています。

ALICE Collaboration2026-03-16⚛️ nucl-ex

Decoding the structure near the π+π\pi^+\pi^- mass threshold in ψ(3686)J/ψπ+π\psi(3686) \rightarrow J/\psi \pi^+\pi^- decays

BESIII の高精度データに基づき分散理論を用いた解析により、ψ(3686)J/ψπ+π\psi(3686) \rightarrow J/\psi \pi^+\pi^- 崩壊におけるπ+π\pi^+\pi^-質量閾値近傍の構造は、追加の共鳴状態を導入することなく、強いパイオン間相互作用とヘリシティ反転振幅によって説明可能であることが示されました。

Yun-Hua Chen, Xiang-Kun Dong, Feng-Kun Guo, Christoph Hanhart, Bastian Kubis2026-03-13⚛️ hep-ex