核物理学は、物質の最小単位である原子核の構造や性質、そしてその中で起こる反応を探求する分野です。宇宙の成り立ちからエネルギーの源まで、私たちの世界を支える基礎的な原理を解き明かす鍵となる研究領域です。

Gist.Science では、arXiv に投稿されたこの分野の最新プレプリントをすべて収集し、専門用語に頼らない平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を提供しています。複雑な理論や実験結果も、誰でも理解しやすい形に整理してお届けします。

以下に、核物理学に関する最新の論文リストを掲載します。

From closed shells to open shells: Coupled-cluster calculations of atomic nuclei

本論文は、カイラル有効場理論に基づく核力を用いて、対称性の破れた参照状態や運動方程式手法など異なる結合クラスター計算手法を比較し、カルシウムおよびニッケル同位体鎖の基底状態エネルギーや二中性子分離エネルギーなどの巨視的性質が一貫して記述されることを示しています。

F. Marino, F. Bonaiti, P. Demol, S. Bacca, T. Duguet, G. Hagen, G. R. Jansen, T. Papenbrock, A. Tichai2026-03-02⚛️ nucl-ex

Particle number projected energies at finite temperature

本論文は、有限温度における粒子数投影を自一貫性スケーレ密度汎関数計算に組み込むことで、変形に依存する複合核のエネルギーを厳密に計算し、臨界温度への接近に伴う分割関数における偶奇振動の減衰や、投影の有無にかかわらず類似する核分裂障壁、および基底状態と障壁における核準位密度を明らかにした。

Jiawei Chen, Yu Qiang, Junchen Pei2026-03-02⚛️ nucl-th

Realistic Equations of State Informing Neutron Star Post-Merger Gravitational-Wave Frequencies

本研究では、相対論的平均場モデルに基づく現実的な状態方程式を用いて中性子星合体後の重力波ピーク周波数を計算し、その分布が 2.5〜4 kHz に広がることを示すことで、キロヘルツ帯域の広帯域観測の必要性を指摘し、KAGRA の高周波数設計が合体残骸の観測に適していることを明らかにしました。

Spencer J. Magnall, Nilaksha Barman, Debarati Chatterjee, Paul D. Lasky, Simon Goode2026-03-02⚛️ nucl-th

SS factor of 13^{13}C(αα,nn)16^{16}O at low energies in cluster effective field theory

この論文は、低質量 AGB 星のガンモウピークエネルギーにおける13^{13}C(α\alpha,n)16^{16}O 反応のSS因子を、17^{17}O の共鳴状態を含むクラスター有効場理論を用いて低エネルギー領域で再評価し、その不確実性の主要因が近接崩壊閾値の1/2+1/2^+状態のパラメータ fitting にあることを明らかにしたものである。

Shung-Ichi Ando2026-03-02⚛️ nucl-ex

Global ΛΛ polarization in heavy-ion collisions at high baryon density

3 流体ダイナミクスモデルを用いて高重子密度領域の Au+Au 衝突におけるΛ\Lambda粒子の全球分極を計算し、熱的渦度やスピン・ホール効果などの多様な寄与を考慮した結果、3 GeV での STAR 実験データとよく一致することを確認するとともに、3.2〜4.5 GeV における極大値の存在を予測し、今後の STAR 固定標的実験での検証を期待しています。

Yu. B. Ivanov2026-02-27⚛️ nucl-ex

Disperon QED

本論文では、分散関係、OpenLoops などの自動化ツール、有効場理論、しきい値引き算を組み合わせた「disperon QED」という手法を提案し、McMule におけるeeππee\to\pi\pi過程への適用を通じて、2 輪図におけるハドロン真空分極補正やパイオンのベクトル形状因子の計算を可能にし、より複雑な過程への汎用性を示しています。

Yizhou Fang, Sophie Kollatzsch, Marco Rocco, Adrian Signer, Yannick Ulrich, Max Zoller2026-02-27⚛️ nucl-th