バイオインフォマティクスは、膨大な生物学的データをコンピュータの力で解析し、生命の謎を解き明かす分野です。ゲノム情報やタンパク質の構造といった複雑なデータから、新たな発見を引き出すための重要な橋渡し役となっています。

Gist.Science では、bioRxiv から公開される最新のプレプリントをすべて対象に、この分野の論文を網羅的に扱っています。専門的な詳細な要約に加え、難しい専門用語を避け、誰でも理解できる平易な日本語での解説も併せて提供しています。

以下に、bioRxiv から更新されたばかりのバイオインフォマティクスに関する最新論文の一覧を掲載します。

FlyPredictome: A structural atlas of predicted protein-protein interactions in Drosophila

本研究は、150 万組の AlphaFold-Multimer 予測に基づき、Drosophila のタンパク質間相互作用をアミノ酸レベルの構造解像度で網羅的に解析し、表現型関連変異が相互作用界面に富むことを実証するとともに、シグナル伝達経路からタンパク質複合体に至るモジュール構造を明らかにした「FlyPredictome」というオープンデータベースを構築したものである。

Kim, A.-R., Comjean, A., Veal, A., Rodiger, J., Han, M., Hu, Y., Perrimon, N.2026-04-16💻 bioinformatics

DIOPT: the DRSC Integrative Ortholog Prediction Tool, 2026 update

本論文は、2011 年に開発された DRSC 統合相同性予測ツール(DIOPT)が、2026 年時点で複数のアルゴリズムと対象生物種の拡大、ウェブポータルの機能強化、および節足動物に特化した姉妹ツールの開発を通じて、機能ゲノム学研究における種間相同性予測の信頼性と利便性をさらに向上させたことを報告するものである。

Hu, Y., Comjean, A., Gao, C., Yamamoto, S., Mohr, S., Perrimon, N.2026-04-16💻 bioinformatics

TFBindFormer: A Cross-Attention Transformer for Transcription Factor-DNA Binding Prediction

本論文は、DNA 配列だけでなく転写因子のタンパク質情報も統合したハイブリッド・クロス・アテンション・トランスフォーマー「TFBindFormer」を提案し、大規模な転写因子と DNA の結合予測において既存の DNA のみのモデルを大幅に上回る精度を達成したことを報告しています。

Liu, P., Wang, L., Basnet, S., Cheng, J.2026-04-15💻 bioinformatics

CROssBARv2: A Unified Computational Framework for Heterogeneous Biomedical Data Representation and LLM-Driven Exploration

本研究は、断片化された生体医学データを標準化されたオントロジーとベクトル埋め込みを備えた大規模知識グラフに統合し、LLM のハルシネーションを抑制した自然言語検索や予測モデリングを可能にする統合フレームワーク「CROssBARv2」を提案し、その有効性を多角的に検証したものである。

Sen, B., Ulusoy, E., Darcan, M., Ergun, M., Lobentanzer, S., Rifaioglu, A. S., Turei, D., Saez-Rodriguez, J., Dogan, T.2026-04-15💻 bioinformatics

Discovery of Selective Nrf2 Activators from Natural Products: AComputational Screening Approach to Minimize Off-Target Effects on PXR and CYP2D6

本論文は、62 万 8,898 種類の天然産物からコンピューターシミュレーションを用いて大規模スクリーニングを行い、Nrf2 活性化を促進しつつ PXR や CYP2D6 への非特異的干渉を最小限に抑えた 10 件の高選択性候補化合物を同定し、酸化ストレス関連疾患に対するより安全で精密な治療薬開発の基盤を築いたことを報告しています。

Wang, Y., Gong, Y., Li, R., Li, Z., Cai, H., Fan, L., Ma, H.2026-04-15💻 bioinformatics

Sex-biased gene expression shapes sex differences in gene essentiality

この研究は、CRISPR スクリーニングとトランスクリプトーム解析を統合し、性差のある遺伝子発現が必ずしも性差のある遺伝子必須性(細胞生存への依存度)を決定する主要な要因ではなく、特に X 染色体において発現に依存しない直接的な性差や染色体用量効果が支配的であることを明らかにしました。

Rocca, C., DeCasien, A. R.2026-04-15💻 bioinformatics

Beyond Structure and Affinity: Context-Dependent Signals for de novo Binder Success

本研究は、構造や親和性に基づく評価だけでは予測できない新規タンパク質結合体の成否を、自然タンパク質から学習した生物学的シグナル(凝集性、PTM サイト密度、トポロジーなど)を用いた多層的かつ文脈依存型の分析によって特定し、合成前の候補選別におけるヒット率を大幅に向上させることを示しています。

Bozkurt, C.2026-04-15💻 bioinformatics

Decoding Single-Cell Omics of Perturbation Responses Using DeSCOPE

遺伝的摂動に対する細胞応答を予測する新たな軽量条件付き変分オートエンコーダー「DeSCOPE」を開発し、未知の遺伝子や細胞タイプ、さらには多遺伝子組み合わせ摂動に対する高い汎用性と精度を実証することで、遺伝子制御ネットワークの解明や治療標的の設計を支援する汎用的なマルチモーダル仮想細胞モデルを提案した。

Wu, P., Wei, H., Li, Y., Zheng, X., Zhou, C., Hu, X., Wang, C.2026-04-15💻 bioinformatics