バイオインフォマティクスは、膨大な生物学的データをコンピュータの力で解析し、生命の謎を解き明かす分野です。ゲノム情報やタンパク質の構造といった複雑なデータから、新たな発見を引き出すための重要な橋渡し役となっています。

Gist.Science では、bioRxiv から公開される最新のプレプリントをすべて対象に、この分野の論文を網羅的に扱っています。専門的な詳細な要約に加え、難しい専門用語を避け、誰でも理解できる平易な日本語での解説も併せて提供しています。

以下に、bioRxiv から更新されたばかりのバイオインフォマティクスに関する最新論文の一覧を掲載します。

Looplook: An integrative suite for target assignment and functional annotation of chromatin interactions empowered by expression-aware refinement and connected components clustering

本論文は、物理的な 3D 染色質相互作用と転写活性を統合的に解析し、偽陽性を排除して高信頼性の空間的遺伝子制御ネットワークを構築するオープンソース R パッケージ「Looplook」を開発し、機能ゲノミクスにおける標的遺伝子の割り当てと機能注釈を革新することを報告しています。

Zhang, Y., Huang, X., Chen, Y., Xu, L.2026-04-06💻 bioinformatics

Leveraging Uncertainty Estimates for Drug Response Prediction in Cancer Cell Lines

本論文は、がん細胞株のオミクスデータに基づく薬剤応答予測において、不確実性推定を活用して分布外データを検知し予測精度を向上させるだけでなく、予測不可能性の転写シグネチャの同定や能動学習による実験の優先順位付けも可能にする手法を提案・検証したものである。

Iversen, P., Renard, B. Y., Baum, K.2026-04-06💻 bioinformatics

ProMaya: a hierarchical universal Deep Learning framework for accurate and interpretable Protein-Protein interaction identification

ProMaya は、3 次元原子幾何学やタンパク質言語モデルの埋め込みなど多様な情報を統合した階層的なグラフ・トランスフォーマーフレームワークであり、9 種の生物および 47GB の実験データを用いたベンチマークにおいて 95% 以上の高い精度でタンパク質間相互作用を特定し、既存の手法を大幅に上回る性能を示しました。

Bhati, U., Gupta, S., kesarwani, V., Shankar, R.2026-04-06💻 bioinformatics

Sequence-Driven Drug-Target Affinity Prediction Via Graph Attention Networks and Bidirectional Cross-Attention Fusion

構造データが不要なシーケンス駆動型の Drug-Target 親和性予測モデル「XAttn-DTA」は、分子グラフと ESM2 予測コンタクトマップに基づくタンパク質グラフを双方向クロスアテンションで融合し、既存手法を大幅に上回る精度と未知の化合物・タンパク質ファミリーに対する汎化性能を実現しました。

Kudari, Z., Kaira, V. S., P, S. S., Bhat, R., Gnana Sekaran, J.2026-04-06💻 bioinformatics

RAMBO: Resolving Amplicons in Mixed Samples for Accurate DNA Barcoding with Oxford Nanopore

本論文は、Oxford Nanopore シーケンシングの誤り率という課題を克服し、参照データベースや系統分類の事前知識に依存せず、0.15% のわずかな配列差異まで区別して混合サンプルから生物学的に有意な変異を高精度に復元する新しい DNA バーコーディング解析パイプライン「RAMBO」を提案するものである。

Kolter, A., Hebert, P. D. N.2026-04-05💻 bioinformatics

Unravelling genome-wide mosaic microsatellite mutations at single-cell resolution

この論文では、単一細胞解像度でモザイク短鎖反復配列(STR)変異を検出する新しいアルゴリズム「BayesMonSTR」を開発し、加齢に伴う脳神経細胞における STR 変異の蓄積やその機能的位置的特徴を明らかにすることで、疾患関連変異の発見と発育・加齢における STR 変異の未解明な側面を解明したことを報告しています。

Wang, C., Fan, W., Wang, W., Xia, Y., Lu, J., Ma, X., Yu, J., Zheng, Y., Luo, Y., Li, W., Yang, Q., Lin, M., Liu, H., Lan, Y., Li, C., Liu, X., HE, D., Cai, S., Yu, X., Zhou, D., Kellis, M., Xiong, X. (…)2026-04-05💻 bioinformatics

Widespread data leakage inflates accuracy and corrupts biomarker discovery in cancer drug response prediction

がん細胞の薬剤応答予測において、交差検証前に全サンプルで特徴量選別を行う広範なデータリーク慣行が精度を過大評価し、生物学的シグナルではなく統計的アーティファクトを捉えることでバイオマーカー発見を歪めていることを、大規模データと文献監査を通じて実証し、その修正手法とガイドラインを提示しています。

Asiaee, A., Strauch, J., Azinfar, L., Pal, S., Pua, H. H., Long, J. P., Coombes, K. R.2026-04-05💻 bioinformatics

Transcriptomic Integration Reveals a Conserved Inflammatory--Proliferative Paradox in Acquired Resistance to Immune Checkpoint Blockade

本論文は、免疫チェックポイント阻害剤の獲得耐性において、抗腫瘍免疫と関連するインターフェロン-γシグナルと細胞増殖プログラムが同時に活性化されるという一見矛盾する「炎症 - 増殖パラドックス」が、ヒトおよびマウスの多様ながんモデルで保存された普遍的なメカニズムであることを、統合トランスクリプトーム解析により明らかにしました。

Lee, H., Yeo, H., Bak, I., Yoo, K.-W., Park, S.-M.2026-04-05💻 bioinformatics