バイオインフォマティクスは、膨大な生物学的データをコンピュータの力で解析し、生命の謎を解き明かす分野です。ゲノム情報やタンパク質の構造といった複雑なデータから、新たな発見を引き出すための重要な橋渡し役となっています。

Gist.Science では、bioRxiv から公開される最新のプレプリントをすべて対象に、この分野の論文を網羅的に扱っています。専門的な詳細な要約に加え、難しい専門用語を避け、誰でも理解できる平易な日本語での解説も併せて提供しています。

以下に、bioRxiv から更新されたばかりのバイオインフォマティクスに関する最新論文の一覧を掲載します。

From variability to consensus: rescoring harmonizes peptide identification across diverse search engines and datasets

本論文は、7 つの検索エンジンと多様なデータセットを用いたベンチマークを通じて、予測ベースのリスコアリング手法がペプチド同定の一致率を高め、プロテオミクス解析の堅牢性と比較可能性を向上させる一方で、適切な特徴量選択とデータベースの選定が偽陽性率の制御に不可欠であることを示しています。

Winkelhardt, D., Berres, S., Uszkoreit, J.2026-03-06💻 bioinformatics

Unveiling Common Molecular Signatures and Pathways in Psychiatric Disorders and Alcohol Use Disorder through Integrated Transcriptome Analysis

本研究は、統合トランスクリプトーム解析とネットワークベースのアプローチを用いて、アルコール使用障害と精神疾患の共通分子基盤を解明し、TTR などのハブ遺伝子、YY1 や FOXC1 などの転写因子、および特定の miRNA を含む潜在的なバイオマーカーや治療標的を同定しました。

Khan, M., Khan, S., Amin, M. F., Hossain, M. A.2026-03-06💻 bioinformatics

Phenotypic reversion and target prioritization for cellular inflammation via representation learning with foundation models

本研究は、単細胞基盤モデル(scFMs)と大規模な Perturb-seq データセットを活用し、炎症性疾患に関連する刺激条件下で遺伝子ノックアウトの影響を評価することで、炎症性細胞表現型の正常化を誘導する有望な治療ターゲットを特定する、スケーラブルかつデータ駆動型の手法を提案しています。

Wong, D. R., Piper, M., Qiao, J., Russo, M., Jean, P., Clevert, D.-A., Arroyo, J., Pashos, E.2026-03-06💻 bioinformatics

CLAMP: Curated Latent-variable Analysis with Molecular Priors

本論文は、大規模なトランスクリプトミクスデータセットに対して、既存の手法(PLIER)よりもはるかに高速かつメモリ効率よく、かつ生物学的な事前知識を組み込んだ潜在変数を抽出することを可能にする新しい手法「CLAMP」を提案し、その有効性を検証したものである。

Subirana-Granes, M., Nandi, S., Zhang, H., Chikina, M., Pividori, M.2026-03-05💻 bioinformatics

Machine Learning Ensemble Reveals Distinct Molecular Pathways of Retinal Damage in Spaceflown Mice

本論文は、機械学習アンサンブル手法を用いて宇宙飛行中のマウス網膜における酸化ストレスとアポトーシスが分子経路を異にする独立した損傷メカニズムであることを明らかにし、将来の宇宙飛行士の視覚保護に向けたバイオマーカーや治療標的の開発基盤を提供した。

Casaletto, J. A., Scott, R. T., Rathod, A., Jain, A., Chandar, A., Adapala, A., Prajapati, A., Nautiyal, A., Jayaraman, A., Boddu, A., Kelam, A., Jain, A., Pham, B., Shastry, D., Narayanan, D., Kosara (…)2026-03-05💻 bioinformatics

Single-Cell Omics for Transcriptome CHaracterization (SCOTCH): isoform-level characterization of gene expression through long-read single-cell RNA sequencing

本論文は、Nanopore や PacBio などの長リード単細胞 RNA シーケンシングデータから、サブエクソン結合モデルや動的閾値法を用いて既存の手法よりも高精度に既知および新規アイソフォームを同定・定量化するエンドツーエンドのパイプライン「SCOTCH」を提案し、その有効性をシミュレーションおよび実データ解析で実証したものである。

Xu, Z., Qu, H.-Q., Mu, S., Kao, C., Hakonarson, H., Wang, K.2026-03-04💻 bioinformatics

Sample-specific haplotype-resolved protein isoform characterization via long-read RNA-seq-based proteogenomics

本研究は、長鎖 RNA シーケンシングとマススペクトロメトリーデータを統合したワークフローを開発し、ハプロタイプ分解されたサンプル固有のタンパク質アイソフォームを特定することで、従来の参照データベースでは検出が困難な変異やスプライス関連ペプチドの検出を可能にする実用的な枠組みを提示した。

Wissel, D., Sheynkman, G. M., Robinson, M. D.2026-03-04💻 bioinformatics