遺伝学は、生物の形質がどのように親から子へ受け継がれ、多様性が生まれるかを研究する分野です。Gist.Science では、bioRxiv から公開される最新の遺伝学に関するプレプリントをすべて収集し、専門用語を噛み砕いた平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を用意しています。

これにより、研究者だけでなく、科学に興味を持つ誰もが最先端の知見に容易にアクセスできるようになります。複雑なゲノム解析や遺伝子発現のメカニズムなど、日々の研究動向をわかりやすく整理してお届けします。

以下に、遺伝学カテゴリーで公開された最新の論文リストをご紹介します。

Genetic parameters and genotype-by-diet interactions forgrowth traits in Australian black soldier fly larvae: Implicationsfor selective breeding in the circular bioeconomy

この研究は、オーストラリア産サシバエ幼虫の成長形質における遺伝パラメータと飼料間相互作用を評価し、短世代間隔と優性効果を活用した選択育種が循環型バイオ経済における持続可能な飼料生産に寄与し得ることを示しました。

Gowda, K. B., Septriani, S., Jones, D. B., Jerry, D. R., Tedder, C., Zenger, K. R.2026-03-17🧬 genetics

Characterization of variants associated with Cerebral Small Vessel Disease identifies a functional SNV in Versican

本研究では、脳小血管病に関連する 44 の SNV をマルチプレックス並列レポーターアッセイ(MPRA)で機能解析し、そのうち 26 個がアレル特異的なエンハンサー活性を示すことを明らかにするとともに、特に Versican 遺伝子内の rs13176921 が転写因子 NKX3.1 の結合を介して遺伝子発現を調節する機能的な変異であることを実証しました。

Ryu, J.-R., Narang, A., LeGrand, Q., Tregouët, D.-A., Debette, S., Childs, S. J.2026-03-17🧬 genetics

A biobank-scale method for learning modulators of gene-environment interaction underlying human complex traits from multiple environmental exposures

本研究では、複数の環境曝露とゲノムワイドな遺伝的変異を含む大規模バイオバンクデータから、遺伝子 - 環境相互作用(GxE)を効率的に学習し、真の相互作用と環境依存性のノイズを区別する新しい手法「ENGINE」を開発し、その有効性をシミュレーションおよび UK バイオバンクのデータを用いて実証しました。

Liu, Z., Ramteke, A., Anand, A., Gorla, A., Jeong, M., Sankararaman, S.2026-03-16🧬 genetics

Correction of a recurrent pathogenic variant in methylmalonic acidemia using adenine base editing

この論文は、メチルマロン酸血症の原因となる MMAB 遺伝子の反復性変異(c.556C>T)に対して、リポナノ粒子を用いたアデニン塩基編集技術により、肝細胞内で効率的かつ副作用を最小限に抑えた遺伝子修復に成功し、将来的な治療法の基盤を確立したことを報告しています。

Kahn, E. M., Said, H., Qu, P., Alameh, M.-G., Wang, X., Musunuru, K., Ahrens-Nicklas, R. C.2026-03-15🧬 genetics

Yeast Rai1p and the RAC complex (Ssz1p/Zuo1p) modulate uORF-mediated GCN4 translational control under stress conditions.

本論文は、アミノ酸飢餓ストレス下における酵母の GCN4 遺伝子発現制御(特に uORF 介した翻訳再開始)において、Rai1p と RAC 複合体(Ssz1p/Zuo1p)が新たな調節因子として機能し、これらが欠損するとストレス応答が乱れることを明らかにしたものである。

Jendruchova, K., Subrtova, A., Valasek, L. S.2026-03-14🧬 genetics

Diverse processes drive the origination and maturation of super-enhancers and super-silencers during a vast evolutionary timescale of the bicistronic gene SMIM45

本論文は、ヒトの二重遺伝子 SMIM45 をモデルに、数億年にわたる進化の過程で、Alu 配列の挿入や「栽培遺伝子」モデルなど多様なメカニズムが超エンハンサーや超サイレンサーの形成を駆動し、最終的に胎児脳で発現するヒト固有のデノボ遺伝子の誕生に至ったことを明らかにしたものである。

Delihas, N.2026-03-13🧬 genetics

Spt5's central KOW domains and the Pol II Stalk Collaborate to Regulate Chromatin and 3'-End Processing

本論文は、酵母において Spt5 の中央 KOW ドメイン(KOW2-3)と RNA ポリメラーゼ II の茎部(Rpb4/7)が協調して、転写伸長中のクロマチン構造の維持と 3'末端処理を制御する新たなプラットフォームとして機能することを示したものである。

Morton, Z. A., Doody, M. J., Naik, N., Paniagua, N., Delahunty, C., Yates, J. R., Bustamante, C. J., Hartzog, G. A.2026-03-13🧬 genetics

Dissecting genetic variance structure and evaluating genomic prediction models for single-cross hybrids derived from Stiff Stalk and Non-Stiff Stalk maize heterotic groups

この研究は、GBLUP ベースのマルチカーネルモデルを用いて、トウモロコシの異質性群(Stiff Stalk と Non-Stiff Stalk)における遺伝的分散構造を解明し、親の情報が利用可能な場合に未試験の単一交配ハイブリッドの性能を高精度に予測できることを示した。

Godoy, J. C., Edwards, J., Lee, E. C., Mikel, M. A., Fernandes, S. B., Hirsch, C. N., Berry, S. P., Lipka, A. E., Bohn, M. O.2026-03-13🧬 genetics

Genetic population structure and demographic history of Pacific cod in Japanese waters: Implications for stock identification using SNP markers

本論文は、GRAS-Di 法による 6,035 個の SNP マーカーを用いて太平洋カレイの日本周辺における 3 つの主要な遺伝的集団とそれぞれの氷期以降の異なる個体群動態を明らかにし、特に外れ値となる SNP を用いた効率的なマーカー選定が、資源管理に不可欠な遺伝的集団の識別精度を大幅に向上させることを示した。

Hirao, A. S., Sakuma, K., Akita, T., Chiba, S. N.2026-03-13🧬 genetics

putzig safeguards genome integrity by contributing to the Piwi-mediated repression of transposon activity in the female germline of Drosophila in a two-tiered fashion

本論文は、ショウジョウバエの雌性生殖細胞において、Putzig(Pzg)タンパク質が piRNA クラスターの転写開始を促進し、かつ Piwi-piRNA 複合体とヒストン脱メチル化酵素 Lsd1 を連結してヘテロクロマチン形成を可能にすることで、トランスポゾンの活性を二重のメカニズムで抑制しゲノム完全性を維持することを明らかにしたものである。

Huettinger, L., Kober, L., Zimmermann, M., Schlensog, S., Engelhart, M., Nagel, A. C.2026-03-13🧬 genetics