遺伝学は、生物の形質がどのように親から子へ受け継がれ、多様性が生まれるかを研究する分野です。Gist.Science では、bioRxiv から公開される最新の遺伝学に関するプレプリントをすべて収集し、専門用語を噛み砕いた平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を用意しています。

これにより、研究者だけでなく、科学に興味を持つ誰もが最先端の知見に容易にアクセスできるようになります。複雑なゲノム解析や遺伝子発現のメカニズムなど、日々の研究動向をわかりやすく整理してお届けします。

以下に、遺伝学カテゴリーで公開された最新の論文リストをご紹介します。

Zinc excess promotes lysosome remodeling by activating HLH-30/TFEB through the action of the high zinc sensor HIZR-1.

この論文は、C. elegans において、高濃度の亜鉛がセンサー HIZR-1 を活性化し、それがリソソームのマスター調節因子 HLH-30/TFEB の発現を誘導することで、リソソーム関連オルガネラの数と容量を増加させ、亜鉛の解毒と恒常性維持を実現する遺伝的経路を明らかにしたものである。

Cubillas, C., Liu, H., Deshmukh, K., Mendoza, A., Schneider, D. L., Herrera, D., Zhao, C., Murphy, J. T., Edwards, J., Diwan, A., Kornfeld, K.2026-02-24🧬 genetics

A naive piRNA Surveillance System That Broadly Monitors the Germline Transcriptome for Adaptive Genome Defense

本論文は、カイコ、ハエ、マウスにおいて、RNA 量に比例してカノン的経路に依存せず広範に生成される低レベルのセンス鎖 piRNA が、新規侵入因子の初期認識を担う「素朴な」ゲノム監視システムとして機能し、その後、より効率的な特異的沈黙経路への適応を導くことを示しています。

Shoji, K., Tomari, Y.2026-02-23🧬 genetics

A non-invasive method to genotype cephalopod sex by quantitative PCR

この論文は、皮膚の拭き取りサンプルを用いた定量的 PCR 法により、ナノメータ級のコウイカを含む複数の頭足類の個体を非侵襲的かつ早期に遺伝子型に基づいて性別を判定する手法を開発・検証したものである。

Rubino, F. A., Coffing, G. C., Gibbons, C. J., Small, S. T., Desvignes, T., Pessutti, J., Petersen, A. M., Arkhipkin, A., Shcherbich, Z., Postlethwait, J. H., Kern, A. D., Montague, T. G.2026-02-23🧬 genetics

Signatures of sex ratio distortion in humans

ユタ州人口データベースの系図を分析したこの研究は、Y 染色体に起因する可能性のある強い性比歪み(男性が 2 倍多く生まれる現象)を特定し、人間にも segregation distortion(分離歪み)が存在する可能性を示唆しています。

Baldwin-Brown, J. G., Wesolowski, S., Zimmerman, R. M., Peterson, B., Tristani-Firouzi, M., Hernandez, E. J., Aston, K., Yandell, M., Phadnis, N.2026-02-23🧬 genetics

Life, the universe, and everything for $42: ultra-low pass sequencing of maize for genotyping, mapping, and pedigree analysis

この論文は、1 サンプルあたり 21 ドルという低コストで maize(トウモロコシ)のゲノム全体を超低深度シーケンシングする簡易な手法とバイオインフォマティクス解析パイプラインを開発し、遺伝子型決定、遺伝子地図作成、および未知の血統を含む系統解析など、多様な遺伝学・育種学応用を可能にしたことを報告しています。

Khangura, R. S., Kaur, A., San Miguel, P. J., Dilkes, B. P.2026-02-23🧬 genetics

A centromere but not just a centromere: structure and evolution of a selfish chromosomal supergene in monkeyflowers

この論文は、モンキーフラワーのメiotic 駆動遺伝子座(MDL11)において、セントロメア衛星配列の劇的な拡大と多数の遺伝子の獲得という複雑な構造変化を通じて、メンデルの法則を逸脱する「利己的スーパー遺伝子」がどのように進化し維持されてきたかを解明したものである。

Stark-Dykema, E., Finseth, F. R., Conner, W. R., Fishman, L.2026-02-23🧬 genetics

A novel proliferative candidate genes panel for idiopathic pulmonary fibrosis: insights from integrated bulk and single-cell RNA sequencing

この研究は、バルクおよびシングルセル RNA シーケンシングを統合解析することで、特発性肺線維症(IPF)の病態に細胞増殖関連の遺伝子モジュールが関与し、がん発生と共通する分子メカニズムを有することを明らかにし、新たな診断バイオマーカーおよび細胞周期阻害剤の転用可能性を示唆した。

Wang, Q., Tang, C., Wu, Q., Wan, N., Jin, Z., yang, C., Wang, H., Feng, J., Wang, Y.2026-02-22🧬 genetics