ゲノミクスは、生命を構成する設計図である遺伝情報を解読し、その働きや多様性を理解するための重要な分野です。この領域では、DNA の配列から病気の原因を突き止める研究から、進化の歴史をたどる調査まで、多岐にわたる発見が生まれています。Gist.Science では、これらの最先端の知見を、専門用語に頼らず誰でも理解できる形でお届けします。

当サイトのゲノミクスカテゴリに掲載される論文はすべて、プレプリントサーバー bioRxiv から提供された最新のものであり、承認前の研究結果も含んでいます。Gist.Science は bioRxiv から届くすべての新規プレプリントを自動的に処理し、専門家が読める詳細な技術的要約と、一般の方も読める平易な解説の両方を生成して公開しています。

以下に、ゲノミクス分野における最新の論文リストを掲載します。

BAF complexes maintain accessibility at stimulus-responsive chromatin and are required for transcriptional stimulus responses

BAF 複合体は、AP-1 やリンパ球系決定転写因子が結合する「プライミングされた」エンハンサーのクロマチンアクセシビリティを維持することで、インターフェロンやデキサメタゾンなどの刺激に対する遺伝子発現応答に不可欠であり、その機能欠損は疾患の病態に関与する可能性があります。

Gulka, A. O. D., Kang, K. A., Zhou, Z., Gorkin, D. U.2026-03-21🧬 genomics

The population structure and genetic health of European wolves

ヨーロッパのオオカミは単一の回復集団ではなく多様な系統のモザイクであり、多くの個体群で近交係数の上昇や有害変異の固定といった遺伝的劣化が広範に見られるため、地域ごとの遺伝的監視に基づいたきめ細やかな保全計画が求められている。

Todd, E. T., Fontsere, C., Sun, X., Scharff-Olsen, C. H., Hernandez-Alonso, G., Lanigan, L. T., Gomes Martins, N. F., Ciucani, M. M., Ramos-Madrigal, J., Hennelly, L., Mak, S. S. T., Andersone-Lilley (…)2026-03-21🧬 genomics

Self-organization of Drosophila chromatin architecture in a cell-free system

本研究は、ショウジョウバエの細胞抽出液を用いた無細胞系において、転写を伴わずにループや TAD などの高次クロマチン構造が自発的に形成されることを実証し、特に eve 遺伝子座における TAD 形成が単純なループ抽出モデルではなく、Su(Hw) による境界要素の直接対合に依存することを明らかにしました。

Jayakrishnan, M., Kars, G., Campos-Sparr, A., Karpinska, M. A., Zunjarrao, S., Maziak, N., Margulies, C. E., Vaquerizas, J. M., Gambetta, M. C., Oudelaar, M., Becker, P. B. B.2026-03-20🧬 genomics

Dynamic genomes uncover opposite sex determination in the invasive quagga and zebra mussels

本研究は、染色体レベルのゲノム解析を用いて、外来種であるゼブラムールとクアガムールの性決定機構が、それぞれ多遺伝子性の ZZ/ZW 型と FoxL2-Y の重複に起因する局所的な XX/XY 型という、驚くほど対照的な構造を持つことを初めて解明しました。

Weber, A. A.-T., Uthanumallian, K., Kocot, K. M., Giulio, M., Signorini, S. G., Senut, M.-C., Chen, Z., Sigwart, J., Passamaneck, Y.2026-03-20🧬 genomics

Chromosome-level genome sequence of the C4 grass Themeda triandra reveals karyotype orthology with sorghum and genetic variation in accessions adapted to diverse environments

オーストラリア全域に分布する C4 植物 Themeda triandra のクロロソームレベルゲノム配列解読により、ソルガムとの染色体相同性が確認され、乾燥地や温帯など多様な環境に適応した個体群間で熱ショックタンパク質や開花調節に関わる遺伝子に広範な変異が存在することが明らかになりました。

Butler, J. B., Humphreys, J. L., Allnutt, T., Jacob, V. K., Chen, L., Correa-Lozano, A., Lopez-Jurado, J., Foo, E., Wright, I. J., Smith, S. M., Atwell, B. J.2026-03-20🧬 genomics

Perturbation-guided mapping of colorectal cancer cell states to causal mechanisms

この研究は、300 人以上の患者からなる大規模な単細胞アトラスと摂動データを活用した継続学習フレームワークを開発し、大腸がんの細胞状態を記述するだけでなく、KRAS 変異型がんにおけるオンコ胎児的可塑性を示す非標準的な細胞状態の同定や、MAPK 阻害剤による治療反応のメカニズム解明を通じて、細胞状態に直接作用する治療法への因果的洞察を可能にしました。

Hediyeh-zadeh, S., Toh, T. S., Dufva, O., Serra, G., Jakhmola, R., Fourneaux, C., Pinto, G., Fang, Z., Picco, G., Oliver, A. J., Elmentaite, R., Richter, T., To, K., Pett, J. P., Teichmann, S. A., Azi (…)2026-03-19🧬 genomics

Atopic Dermatitis and Psoriasis Differ in Lesional DEG Reference Instability and Non-Lesional Spectrum Displacement: Multi-Cohort Geometric Evidence of Individual Homeostatic Boundary Escape

本研究は、幾何学的トランスクリプトミクス解析により、アトピー性皮膚炎の遺伝子発現変動の不安定性が生物学的な効果量の構造的特性に起因し、非病変性皮膚において患者の個人レベルで健康な状態のホメオスタシス境界を越えるサブグループが存在することを示唆し、早期介入の新たなターゲットを特定した。

Shabana, B.2026-03-19🧬 genomics

Modeling cis-regulatory variation in human brain enhancers across a large Parkinson's Disease cohort

この論文は、190 名のドナーから得られた大規模なヒト脳マルチオミクスデータと長鎖ゲノム配列を統合し、細胞特異的なエンハンサー機能に影響を与える遺伝的変異を同定・予測する新しいモデルを構築することで、パーキンソン病の非コード領域における疾患リスク変異の機能的解釈を可能にしたことを報告しています。

Sigalova, O. M., Pancikova, A., De Man, J., Theunis, K., Hulselmans, G. J., Konstantakos, V., Stuyven, B., De Brabandere, A., Geurts, J., Mikorska, A., Mukherjee, S., Abouelasrar Salama, S., Vandereyk (…)2026-03-19🧬 genomics

OxBreaker: species-agnostic pipeline for the analysis of outbreaks using nanopore sequencing

OxBreaker は、Oxford Nanopore 技術を用いた細菌およびプラスミドゲノムのリアルタイム解析を自動化し、専門知識がなくても利用可能な GUI を備えたオープンソースのパイプラインとして、医療関連感染症の監視を支援するものである。

Reding, C., Hopkins, K. M. V., Colpus, M., Sanderson, N. D., Gentry, J., Oakley, S., Campbell, M., Karageorgopoulos, D., Jeffery, K. J. M., Eyre, D. W., Bejon, P., Stoesser, N., Walker, A. S., Young (…)2026-03-19🧬 genomics