ゲノミクスは、生命を構成する設計図である遺伝情報を解読し、その働きや多様性を理解するための重要な分野です。この領域では、DNA の配列から病気の原因を突き止める研究から、進化の歴史をたどる調査まで、多岐にわたる発見が生まれています。Gist.Science では、これらの最先端の知見を、専門用語に頼らず誰でも理解できる形でお届けします。

当サイトのゲノミクスカテゴリに掲載される論文はすべて、プレプリントサーバー bioRxiv から提供された最新のものであり、承認前の研究結果も含んでいます。Gist.Science は bioRxiv から届くすべての新規プレプリントを自動的に処理し、専門家が読める詳細な技術的要約と、一般の方も読める平易な解説の両方を生成して公開しています。

以下に、ゲノミクス分野における最新の論文リストを掲載します。

Genomic epidemiology of the 2017-2023 outbreak of Mycoplasma bovis sequence type ST21 in New Zealand

ニュージーランドにおける 2017 年から 2023 年までの牛マイコプラズマ(ST21)のアウトブレイクに関するゲノム疫学研究は、移動制限と殺処分が感染拡大を抑制し、一部系統の絶滅をもたらした一方で、特定の肥育農場を介した残存感染が継続したことを明らかにし、統合的なゲノム監視がアウトブレイク対応において極めて有用であることを示しました。

French, N. P., Burroughs, A., Binney, B., Bloomfield, S., Firestone, S. M., Foxwell, J., Gias, E., Sawford, K., van Andel, M., Welch, D., Biggs, P. J.2026-04-10🧬 genomics

Eco-physiological and transcriptomic plasticity of Dianthus inoxianus in response to drought

本論文は、地中海性乾燥耐性植物ダイアンサス・イノキアナスが、乾燥ストレスに対して形質の可塑性は限定的であるものの、ABA 依存・非依存経路を介した転写因子による標的遺伝子発現の調節と、光合成やアミノ酸代謝における脱安定化を通じて、事前適応と特定の分子経路の可塑性を組み合わせる戦略で耐旱性を獲得していることを明らかにした。

Parra, A. R., Balao, F.2026-04-10🧬 genomics

A Joint Promoterome-Proteome Atlas Highlights the Molecular Diversity of Human Skeletal Muscles

本論文は、75 種類のヒト骨格筋の CAGE-Seq によるプロモーターームと 22 種類のマッチングしたプロテオームの大規模解析を通じて、筋肉間の分子的多様性、組織特異的な転写因子の役割、および筋肉関連のゲノムワイド関連解析(GWAS)変異を包括的に解明し、将来の研究を支援するインタラクティブな分子アトラスを構築したものである。

Buyan, A., Gazizova, G., Zgoda, V. G., Vavilov, N. E., Gryzunov, N., Eliseeva, I. A., Nozdrin, V., Sergeeva, Y., Titova, A., Shigapova, L., Erina, A. V., Mescheryakov, G., Murtazina, A., Deviatiiarov (…)2026-04-10🧬 genomics

Aimea gen. nov. defines a novel plant-associated yeast genus in Microbotryomycetes with three novel species

本論文は、植物に共生する新たな酵母属「Aimea」およびその 3 新種を記述し、代謝特性や耐性などの生理学的解析、染色体規模のハイブリッドゲノム配列の解読、系統解析、比較ゲノム解析、ならびに遺伝子形質転換法の確立を通じて、これらの植物関連酵母と宿主や他の微生物との相互作用を研究するための基盤を構築したものである。

Liber, J. A., Coelho, M. A., He, S. Y.2026-04-10🧬 genomics

Genomic insights into polyketide toxin synthesis and algal symbiosis using high-quality genome sequences of the early divergent hexacorallian genus Palythoa (Cnidaria, Zoantharia)

本研究は、高品質なパライソ属のゲノム配列を用いて、超毒性物質パライソトキシンの生合成基盤を解明しようとした結果、宿主遺伝子による特異的な PKS 遺伝子の拡大は見られなかったものの、既存の代謝経路の転用や共生関係に関わる遺伝子の変化など、この系統に特有のゲノム進化の痕跡を明らかにしたものである。

Yoshioka, Y., Shoguchi, E., Chiu, Y.-L., Kawamitsu, M., Reimer, J. D., Yamashita, H.2026-04-10🧬 genomics

Ribo-ITP expands the translatome of limited input samples

本研究は、従来のリボソームプロファイリングでは解析が困難だった微量サンプルに対しても「Ribo-ITP」という手法を適用することで、多数の翻訳領域(トランスロン)を同定し、それらの機能や発現パターン、および翻訳効率への調節役割を実証した画期的な研究です。

Ghatpande, V., Paul, U., Persyn, L., Tian, Y., Howard, M. A., Cenik, C.2026-04-09🧬 genomics

Genomic resources of Ascidiella aspersa and comparative analysis across tunicates reveal class-level features and evolutionary diversification

本研究は、外来種であるアスディエラ・アスパーサのゲノムおよびトランスクリプトーム資源を構築し、35 種以上のウニ類ゲノムとの比較解析を通じて、ウニ類の系統関係や遺伝子ファミリーの収縮など階層レベルの進化特徴を明らかにするとともに、TUNOME と呼ばれるオンライン比較ゲノムデータベースを公開した。

Shito, T. T., Jayakumar, V., Nishitsuji, K., Nishitsuji, Y., Shimon, K., Miyasaka, S. O., Oka, K., Sakakibara, Y., Hotta, K.2026-04-09🧬 genomics

Deep-Plant: a supervised foundation model for plant regulatory genomics

本論文は、DNA 配列からクロマチン状態を直接予測する教師ありファウンデーションモデル「Deep-Plant」を提案し、これが植物の遺伝子発現やエンハンサー活性の予測において、従来の言語モデルの微調整手法よりも優れた速度、精度、解釈性を実現することを示しています。

Daoud, A., Roy, S., Zeng, H., Bao, X., Zhang, Z., Wang, J., Parodi, P., Reddy, A., Liu, J., Ben-Hur, A.2026-04-09🧬 genomics

Detecting context-dependent selection on cancer driver genes with DiffDriver

本研究では、個体ごとの環境要因や遺伝的背景といった「文脈」によってがんドライバー遺伝子への正の選択圧が異なるという仮説を検証し、変異率のばらつきや機能的情報を考慮して偽陽性を抑えつつ検出力を向上させた新しい統計手法「DiffDriver」を開発し、がん進化を駆動する選択圧が文脈依存的であることを実証しました。

Zhou, J., Zhang, Q., Song, L., He, X., Zhao, S.2026-04-09🧬 genomics

Transposable element disruption of a second thyroglobulin-like gene confers Vip3Aa resistance in Helicoverpa armigera

本研究は、長鎖配列解析とゲノム編集技術を用いて、トランスポゾン挿入による第二のチログロブリン様遺伝子(HaVipR2)の破壊が、ワタアワガ(Helicoverpa armigera)における Vip3Aa 毒素への耐性を引き起こす新たなメカニズムであることを明らかにしました。

Bachler, A., Walsh, T. K., Andrews, D., Williams, M., Tay, W. T., Gordon, K. H., James, B., Fang, C., Wang, L., Wu, Y., Stone, E. A., Padovan, A.2026-04-09🧬 genomics