核物理学は、物質の最小単位である原子核の構造や性質、そしてその中で起こる反応を探求する分野です。宇宙の成り立ちからエネルギーの源まで、私たちの世界を支える基礎的な原理を解き明かす鍵となる研究領域です。

Gist.Science では、arXiv に投稿されたこの分野の最新プレプリントをすべて収集し、専門用語に頼らない平易な解説と、技術的な詳細を網羅した要約の両方を提供しています。複雑な理論や実験結果も、誰でも理解しやすい形に整理してお届けします。

以下に、核物理学に関する最新の論文リストを掲載します。

Neural-network quantum states for solving few-body problems: application to Efimov physics

この論文は、連続空間における強相互作用を持つ少体問題(エフィモフ物理など)を解くためにニューラルネットワーク量子状態を適用し、3 体から 6 体のボソン系および質量非対称なフェルミオン系において、基底状態や励起状態のエネルギー、離散スケーリング不変性、波関数の幾何学的構造、臨界質量挙動などの重要な特徴を高精度に再現できることを示しています。

Sora Yokoi, Shimpei Endo, Hiroki Saito2026-04-07⚛️ nucl-th

Dissipative spin hydrodynamics in Bjorken flow and thermal dilepton production

この論文は、スピン化学ポテンシャルを主要な流体力学変数として扱う新しい第一秩序スピン流体力学枠組みを用いて、Bjorken 流れにおけるスピン拡散と粘性が媒質の温度進化に与える影響を解析し、その結果として熱的ダイレプトン生成率が標準的な散逸流体力学と比較して増大することを示すことで、クォーク・グルーオンプラズマにおけるスピンダイナミクスを熱的ダイレプトンを通じて間接的に探る可能性を明らかにしています。

Sejal Singh, Sourav Dey, Arpan Das, Hiranmaya Mishra, Amaresh Jaiswal2026-04-07⚛️ nucl-th

Neutron star with dark matter using vector portal

この論文は、ベクトルポータル(ZZ^\prime)を介して核子と相互作用するフェルミオン型ダークマターが、中性子星の物性方程式や質量 - 半径関係、潮汐変形性に与える影響を相対性平均場理論とトルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ方程式を用いて解析し、重力波や X 線観測データとの整合性からダークマターのパラメータを制約できることを示しています。

Deepak Kumar (IISER Berhampur), Ranjita K. Mohapatra (Rajdhani College), Hiranmaya Mishra (IOP,NISER), Sudhanwa Patra (IIT Bhilai,IOP)2026-04-07⚛️ nucl-th

Halo Nuclei from Ab Initio Nuclear Theory

この論文は、チャリ核力のみを基礎とした「連続体を含む非中心殻模型(NCSMC)」という第一原理アプローチを開発し、6^6He、8^8B、11^{11}Be、15^{15}C、10^{10}Be、11^{11}Li などのハロ核の束縛状態や共鳴状態、および反応過程を統一的に記述・検証した研究成果をレビューしたものである。

Petr Navratil, Sofia Quaglioni, Guillaume Hupin, Michael Gennari, Kostas Kravvaris2026-04-06⚛️ nucl-th

Probability distribution of observables from a Bogoliubov vacuum projected onto good particle number: application to scission configurations of an actinide

本論文は、粒子数投影されたボゴリューボフ真空から核子配置をサンプリングすることで、アクチノイドの分裂(scission)状態における断片の運動エネルギーなど新たな物理量の確率分布を算出する手法を提案し、その有効性と平均場近似内での観測量の揺らぎの重要性を実証したものである。

Alice Bernard, David Regnier, Junah Newsome, Paul Carpentier, Noël Dubray, Nathalie Pillet2026-04-03⚛️ nucl-th

Origin of the Covariant Wigner Operator as a Quantum Amplitude in QCD

本論文は、QCD におけるクォークのウィグナー演算子を古典力学のクープマン・フォン・ネマン・スダールシャン(KvNS)形式に基づいて再構築し、これを位相空間スピノールと自然に同型となる量子確率振幅として解釈することで、その非古典的な負性や非対称性の起源を解明し、古典極限における QCD の再現を含む統一的な枠組みを提供するものである。

Chueng-Ryong Ji, Daniel W. Piasecki2026-04-03⚛️ hep-ph

Long-standing problem: The nuclear level density angular-momentum dependence and isomeric data assessment

この論文は、モリブデンに衝突する陽子の核反応における実験データと理論の不一致が核レベル密度の角運動量依存性、特に慣性モーメントの値に起因する問題を示し、より正確なパラメータ評価のために異なるスピンを持つ平均共鳴間隔の直接測定が不可欠であると論じています。

M. Avrigeanu, E. Šimečková, J. Mrázek, X. Ledoux, J. Novak, M. Štefánik, M. Ansorge, A. Cassisa, J. Kozic, C. Costache, V. Avrigeanu2026-04-03⚛️ nucl-th